株式会社エフワンコンサルティング 代表取締役山口 雄二
2016-05-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社エフワンコンサルティング 代表取締役 山口 雄二

飲食フランチャイズ数全国2位!大阪府の起業事情とビジネス成功の秘訣

 このコラムのポイント

大阪府は東京都に続き、飲食フランチャイズが多い都道府県2位であることをご存知でしょうか?たこ焼きにいか焼き、缶詰バーなどユニークなフードビジネスが多い街ですが、消費にシビアであるのも特徴です。 そんな大阪の起業状況やフランチャイズ開業するときに知っておくと成功につながるポイントをご紹介します。

フランチャイズWEBリポート編集部


橋下政治の変化を読み解けばわかる「大阪府」の経済成長状況

大阪府の起業状況を語るには、平成20年2月からの橋下徹氏の府政、市政抜きに語ることは出来ません。
大阪は、橋下氏によってどのように変化したのか―これを探るべく市長任期最終の2015年『大阪府経済活動別の増減率』の数値を見てみましょう。

項目 総生産額(百万円) 対前年増減率(%) 構成比 参考)神奈川県(億円)
産業 34,142,215 1.0    100.0 271,384
1.農林水産業 39,201 -0.6 0.11 594
2.鉱業 3,158 5.7 0.01 17
3.製造業 5,404,478 5.1 15.83 51,672
4.建設業 1,362,659 -1.6 3.99 14,910
5.電気、ガス、水道 956,087 -0.1 2.80 7,936
6.卸売、小売業 6,435,700 -0.6 18.85 32,756
7.金融、保険業 1,600,158 -0.7 4.69 10,353
8.不動産業 5,135,814 -1.6 15.04 57,266
9.運輸業 1,905,034 -2.4 5.58 15,965
10.情報通信業 2,783,853 7.5 8.15 17,801
11.サービス業 8,516,072 0.9 24.94 62,114

平成26年度大阪府民経済計算 早期推計参照

上記表より読み取れるのは、鉱業、製造業、情報通信業、サービス業で成長が見られ、全国レベルでは、マイナス成長の都市が多い中、大阪府に関しては、一定の成長が見えるレベルに改善しているという事です。

中でも情報通信業は前年比を大きく上回っているので、大阪府の中でも特に成長産業といえます。

大阪府の開業・廃業事情

続いて、大阪府と全国における『開業、廃業率の推移』について四半世紀を振り返りまとめました。

    S.56~61 S.61~H3 H3~H8 H8~13 H13~18 H24~26
大阪府 開業率 5.1 4.4 3.4 3.4 4.7 6.95
廃業率 4.6 4.2 3.7 5.3 6.6 7.45
全国 開業率 4.6 3.9 3.1 3.2 4.4 6.41
廃業率 4.6 3.8 3.2 4.4 5.7 6.50

総務省『事業所・企業統計調査』

開業率を【平成3~13年】と【平成24~26年】で比較すると2倍程度上昇していますが、廃業率もスパン毎に上昇している為、実質成長に至っていないことが読み取れるでしょう。

時代の流れによる廃業に加えて、新規開業者の短命化が加わった数値であると私は推測します。

『事業所・企業統計調査』より読み取れる開業率・廃業率の特徴

1.大阪府の開業率は、常に全国平均より高い
2.大阪府の廃業率は、常に全国平均より高い
3.平成3年以降、大阪、全国も廃業率が開業率を上回っている
4.平成13年より開業、廃業とも伸び率が大きく上昇している
5.平成24~26年になり、開廃の差が0.5と大きく改善傾向にある

H(平成)24~26年の開廃業率を他の大都市圏と比較

都市名 開業率(%) 廃業率(%) 開廃業率(%)
大阪市 7.54 8.25 -0.71
大阪府 6.95 7.45 -0.50
東京都 8.64 8.16 0.48
横浜市 8.02 7.44 0.57
名古屋市 7.89 7.68 0.21
京都市 6.24 6.78 -0.55
神戸市 8.48 7.76 0.71
福岡市 9.96 8.00 1.96
全国 6.41 6.50 -0.09

上記図の開廃業率(開業率-廃業率)において、他の大都市圏と比較すると神戸市をのぞく関西圏が未だマイナス成長であることがわかります。

大阪府で成功する秘訣は関西人の「財布の紐が緩むとき」を見極めること

大阪府は全国平均と比較し、起業(開業率)意欲が高い県であることがおわかりいただけたかと思います。

今後も情報通信分野やサービス業において成長が期待できるが、関西人特有の気質なのか価値あるものにはお金は出すが、価値が低いものには財布の紐がかたくなる性質があり安易に起業を試みると廃業してしまう可能性が高いので、起業前のリサーチが必要です。大阪府民にニーズが高いビジネスが何であるかを読み取りましょう。

大阪府で開業するなら最適なフランチャイズビジネス

それではどのようなビジネスが大阪府ではニーズが高いのか?
自力で開業するよりも低リスクで開業しやすいフランチャイズビジネスを例に考察します。

大阪というシビアな目を持つ消費者が多い環境下、フランチャイズと言うビジネスモデルは、プラス要因が多いのではないかと思われます。

前提として、フランチャイズは、直営のモデル店にてそのノウハウの実証がされ、再現性をも実証されたモデルと言う事である為、肥えた目を持つ消費者が財布の紐を緩めるには、最適なビジネスモデルではないでしょうか。

大阪の飲食フランチャイズ本部数は全国2位。たこ焼きなど専門店業態多め

サービス業の代表業種である飲食フランチャイズにフォーカスし大阪で開業するのに最適なフランチャイズビジネスを考察してみます。

大阪の飲食フランチャイズをネット検索し、フランチャイズ募集を行っているサイトを調査したところ、下記サイトがヒットしたのでフランチャイズチェーンの掲載数や大阪本部数などをまとめてみました。

サイト名 飲食FC掲載数 大阪本部数 大阪本部比率
フランチャイズWEBリポート 41 6 14.63
アントレ 38 11 28.94
フランチャイズの窓口 32 5 15.62
探すフランチャイズ 45 7 15.55
合計 156 29 18.59

飲食FC掲載数に対して、約20%弱が大阪本部のブランドであるという事実がわかるかと思いますが、この表に掲載されていない情報でいうとやはり東京本部数の割合がダントツで高いです。

そんな東京を除いた都道府県の中で、大阪はダントツのNo1。全国で見ると2番目に本部数が多い都道府県です。
大阪本部の業態はと言うと、ラーメン、たこ焼き、焼き鳥など専門店業態がほぼ全てと言ってもいいくらいのラインナップです。

他の大阪本部としては、クレープ、タコせん、唐揚げ、ドーナツなどの単品業態が並びます。
ユニークなところでは、缶詰バーの本部でしょうか。現在42店舗の展開を行っているようです。

専門店や単品業態をウリにしている店舗の特徴はメニュー数が少なく売り物(看板メニュー)が明確であるのが特徴といえます。

故に大阪では、看板メニューが明確な、小規模、少投資、少メニューな業態が育つ傾向にあると言えます。

高い売上高よりも、見た目の華やかさよりも実質的な価値を求める大阪人の商売魂が商売人にも、消費者にも一本筋が通っているように思います。

フランチャイズ開業するなら「本部」になる気持ちで!

開業率が全国比で見て高い大阪で、初期投資で高いコストをかけるのはリスキーであると私は考えます。

小規模、少投資で早期ドミナント出店―このような戦略を当初より念頭に。
フランチャイズ加盟するのならオーナーで終わるのでなく大阪人たるもの商売人としてのプライドを持ち、自分も本部になる覚悟で臨んでいただきたいです。

「本部になる=自分のビジネスモデルを全国に広げる前提で起業する」ということですね。

大阪発の食ビジネスが、ますます全国に発信されることを願っています。
キーワードは、小さく、少なく、低く(安く)ではないでしょうか!?

株式会社エフワンコンサルティング 代表取締役 山口 雄二

トマト&オニオン創業時メンバーとして、約80店舗、餃子のチャオチャオ、韓国鉄板鍋 韓のおしり計120店舗50億円の代表として全国FC展開に携わる。 小から中規模の飲食企業での経験を活かし、現在は経営コンサルタントとして独立し1から5店舗レベルの売上、人材、メニュー等の細かな支援から多店舗化への夢実現支援をベースに零細~小規模、小~中規模への成長支援を中心に活動。