販路企画 代表田口 勝
2015-11-04 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

躍進するコンビニエンスストアチェーンの強さの秘訣 ~Part.4~

 このコラムのポイント

フランチャイズシステムには欠かせない存在であるスーパーバイザー(SV)。彼らが存在する理由とは経営指導のためですが、例えば彼らはコンビニ業界では何をしているのか、そもそも経営指導とはなぜあるべきか。その理由がわかるコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


1.加盟店の成長に必要な経営指導員

フランチャイズビジネスで起業をお考えの方は、気になるのが『このビジネスをやってどれだけの収入を得ることが出来るのか?』ではないでしょうか?

前提としてご理解頂きたいのは、全てのビジネスは自己責任であること。フランチャイズは武器であり、活用の仕方によっては大きく『売上』が変わります。しかし、加盟店が『儲かり』更に『成長』を続けるためには、強い本部の影響があることも事実です。実は強い本部には、『強い経営指導員(SV)』がいます。

経営指導員のアドバイスや情報をもとにして、加盟店が実際に経営を行うことで相乗効果を生み売上が上がります。コンビニエンスストアチェーン本部が躍進することが出来るのは、既存の加盟店の方が成長を行うことが前提です。

その既存の加盟店の成長の支援を行っているのが、『経営指導』です。実はここに大きな『強さ』の秘訣があるのです。

2.なぜ経営指導が必要なのか?

加盟店と本部がフランチャイズ契約を行った後、加盟店が本部にロイヤリティを支払うと、対価として経営指導を受けることができます。これは各社頻度や内容は変わります。多いからいいとか、少ないから悪いではなく、各社が指導を行う上で必要な回数と内容を設けているのです。

コンビニエンスストアチェーン本部はおおよそ週2回訪問を行っており、エリアの担当者が訪問し、店舗の売上や利益の数値状況だけでなく、店舗の売場の状況、在庫管理、従業員の教育状況等、店舗経営に必要な、『人』『物』『金』『情報』といった経営資源の管理状況を確認し、アドバイスを行います。

なぜそういった経営指導が必要かというと、それはフランチャイズの特殊な経営方式にあります。それは素人でも出来るシステムであるからです。

一般的に独立し起業をしたいと考える方は、過去に似た経歴をもっていて、そのノウハウや実績を活かして、商品やサービスを自分で開発し、起業します。
経営事態は素人であっても、販売をする商品やサービスについては熟知していることが多いものです。

そこで、経営のやり方に困った場合には、書物や各種講演、外部のコンサルタントや各種専門家、同じ経営者に相談を行い解決していきます。

しかし、フランチャイズで起業をされる方は、元々異業種の方であったり、サラリーマン勤めでその事業に関する経営知識がなかったりする方も多いですが、その方でも通常の経歴や実績がある方と同等に経営を行っていかなければなりません。

つまり、経営指導がないと事業を成長させることが困難な状況にあるのです。そこでフランチャイズ本部は経営指導を継続的に行っているのです。

3.コンビニエンスストアチェーン本部の経営指導

前回のコラムで複数店舗展開のメリットを上げましたが、実現するには、従業員体制の確立が重要であることも述べました。コンビニエンスストアチェーン本部の経営指導は次のことを主に実施しております。

1.本部方針・伝達の場
→本部の向かうべき方向性を示し、加盟店とのベクトルを合わせる

2.新商品の案内やキャンペーンの案内
→新商品の概要や商品評価、仕入れや売場展開、売り方の指導やアドバイス等

3.既存商品の品揃えの評価及び陳列状況の確認
→死筋排除や売筋の拡大を目的に現在の商品毎の販売状況を確認し、改善案の提案。また、エリアの販売が高い商品の情報の水平展開等

4.店舗確認
→清掃面や接客面等の基本事項を含めて店舗確認を実施し、改善案の提案

5.従業員の教育体制の確立
→店舗の計画―実施―検証の仕組みを動かすためには、従業員さんの教育が最重要となります。店舗の従業員さんの教育指導の手法等の教育

6.経営数値の確認
→売上・利益の確認や経営数値上のどこに問題があるのか。その対策について

書き出すとまだまだありますが、ずばり店舗経営全般に関してきめ細やかな経営アドバイスをする仕事がコンビニエンスストアチェーン本部の経営指導員の仕事です。

実は、チェーン毎や各担当者のレベル毎でも現場ではその内容の濃さは違います。
しかし、各チェーンは経営指導を軸に既存店の売上を改善する方向性であることは間違いありません。

つまり、商品の仕入れだけでなく、売るための仕組みづくりのアドバイスを加盟店に対して継続的に実施しているので、売上が伸びているのです。

その結果、『優良な加盟店が生まれる』。優良な加盟店は更に複数展開を行い、売上・利益が上がる。加盟店の売上や店舗数が増えれば、更にチェーン本部は儲かる。

だから再投資して、『変化への対応』が出来る。WINWINの関係の構築の成長エンジンとなっているものが、この経営指導員の活動となります。

4.まとめ

フランチャイズ本部チェーンが継続して成長を続けるためには、加盟店が儲かることが一番の施策だと私は思っております。
フランチャイズ本部はいろいろありますが、中には加盟すれば後は知らないといったチェーンも残念ながら多数あることは否めません。

しかし、チェーン全体が成長する源泉は、既存店の売上・利益改善であり、そこを実現するための経営指導。私は、この強さがコンビニエンスストアチェーン本部の強さの秘訣の一つであると確信しております。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。