株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-10-16 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

お客様の満足度は「客単価」でわかる

 このコラムのポイント

客数を増やす為に客単価をないがしろにしていませんか?今回のコラムでは、売上を上げる為に必要な指標をご紹介。商品単価が高くてもリピーターの多いお店には支払われる対価以上の「お客様の満足」があるんですね。

フランチャイズWEBリポート編集部


客単価の推移を知る

「このお店の客単価は、1年前に比べるとどのように変化していますか?」

私は、飲食店や美容室、エステサロンなどのコンサルティングを行うとき、必ずこのような質問をします。

質問の目的は、そのお店の「客単価の推移」です。

要は、客単価が増えているか?変わりないか?それとも減っているのか?
それが知りたいのです。

では、なぜ客単価の推移を知りたいのでしょうか?

それは、私が、「客単価の増加」こそが、お客様満足度の真の指標であると思っているからです。

一般的に、店舗ビジネスをするとき、お店の売上を伸ばすためには『客数』を如何に伸ばすかに、思考も行動も集中します。そのため、ディスカウントをしたり、クーポンチラシを配ったり、フリーマガジンやグルメサイトにクーポン券を掲載するなどの集客策を取ります。

もちろん、お客様の数を増やそうとすることは悪いことではありません。客数もまたどんどん増やすべきだと思います。

ところが、一般的な集客方法は、とにかく、客単価を下げてでも客数を増やすことばかり考えます。

確かに世の中は、まだデフレ不況から脱出していないと言われています。だからなのか、お客様も「割引」「激安」「特別価格」「クーポン」などの言葉に対して非常に反応が良いのです。

消耗戦は大手しか勝ち残れない

しかし、そんな集客策は、単なる消耗戦です。
消耗戦は、大手しか勝ち残れないのです。
中堅以下のチェーン店や個人店それをやれば、大変なことになります。
利益あがりません。さらに、それでなくてもスタッフの数が足らないのに、ますますスタッフは疲れてしまうのです。

原価が大幅に下がっているのならばそれも1つの方法でしょう。原価が下がっているのならば、売価を下げても利益は確保できますからね。

でも、現実には、いくら円高とは言っても原価はさほど下がってはいないでしょ?
このご時世にそんなことが出来るのは、大手だからです。

かつて30年前の円高時代にマクドナルドや牛丼三社が相次いでディスカウント戦略を打ち出したのも、彼らが持つ大量の店舗での大量の消費量があったからなのです。

でも、今はそうはいかないのです。
そりゃそうですよ。
原材料は国内産が増えているので、原価そのものはさほど変わっていません。また、逆にアルバイトの時給は上がっているし、しかも、十分なスタッフ数が確保できないから、ますます時給が上昇してしまっているのです。

「トレードアップ」と「追加オーダー」の重要性

ではどうしたらよいのか?

こう言うときは、『客単価アップ』と『リピート』が最も効果的なのです。
特に、より高いメニューへのトレードアップ追加オーダーが重要なのです。

ところが、こう言う風に『客単価アップ』を提唱すると、一部のスタッフは「押し売りはいや」「自分がお薦めされるといやだからやりたくない」なんてことを言い始めます。

ここで、客単価こそがお客様満足度のバロメーターであるということを知らない店長は、いとも簡単に「トレードアップ」と「追加オーダー」をスタッフに指示するのをあきらめてしまうのです。

しかし、それを理解している店長は違います。
お薦めをやりたがらないスタッフに対してこういうのです。

  • 店長「あのね。そもそも、お客様がいやだったら追加オーダーはOKしないよ。OKして追加して下さるときはどんなときだと思う?」
  • スタッフ「そうですね。思わず食べたくなるようにお薦めされたり、もう少し食べれるかも?と思ったときかな?」
  • 店長「じゃあ、そういう時ってお客様は不満足な状態かな?」
  • スタッフ「いいえ、きっと喜んでいるんだと思います」
  • 店長「そういうこと!つまり、上手にお薦めや追加オーダーを伺うことが出来れば、お客様は帰って喜んでくれるんだよ」
  • スタッフ「そうか!わかりました!喜んでいただけるようにお薦めをすれば良いと言うことなんですね」
  • 店長「そういうこと!!」

いかがでしょうか?

お薦めや追加オーダーが苦手なスタッフは、お客様が喜んでいただけるようなお薦めの仕方が出来ていないのです。

言い換えれば、「これ美味しそう!食べたい!」とか「う~ん、もう少し食べたいな~」という気持ちになっていただけるようなお薦めをすれば良いと言うことなのです。

そうして、お薦めや追加オーダーが成功すれば、自然と客単価はアップしますよね。
つまり…「客単価アップは、お客様満足度のバロメーター」と言うことなのです。

皆さんはいかがですか?

客単価を下げてでも客数を伸ばそうという戦略は、裏を返せば、商品力やスタッフ力に自信が無い証拠とも言えるのです。

あなたは、お店の商品に自信がありますか?
あなたは、スタッフの底力に自信がありますか?

なら、客単価をアップする作戦をどんどん進めていきましょう!!
きっと、お店の雰囲気も、売上も大きく変わっていきますよ!!

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。