株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-05-07 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

部下のやる気が湧いてくる!相手の心に軸をおいて話せる上司になろう

 このコラムのポイント

上司がある日発した、心無い一言…。部下は部下なりに、周りの状況を踏まえて、うつになりそうなぐらい色々と考えて、日々試行錯誤しているというのに… そんな簡単な言葉で切り捨てられたのでは。今回のコラムでは、著者自身が上司に言われてイヤだった言葉を例に、上司・部下の関係以前に人として意識すべき「語りかけのポイント」について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


部下の気持ちを、土足で通過する上司

「まじめにやれ!」

あなたは、上司からどんな言葉を言われるのがイヤですか?
私は、上司から言われる言葉で一番イヤだったのはこの言葉です。 

「まじめ」って、人それぞれに基準や定義が違います。
「まじめ」って、人それぞれに解釈も違うのです。

「まじめ」という言葉を使う時、多くの人は『自分で考えるところの“まじめ”』の定義・解釈を用います。

そして、相手の“まじめさ”を 自分基準で評価し、自分基準で求めます。
すると、自分の基準に満たない相手の行動や気持ちは“ふまじめ”と評価してしまいます。

その結果、「まじめにやれ」という言葉を言ってしまうのです。

言葉を発する側・受け取る側の「思い」の差

でも、その時、言われた方は… 本当に“ふまじめ”だったのでしょうか?

仕事においては、基本的に「ふまじめ」に仕事をする人なんて、ほとんどいません
人はそれぞれにその人の基準の中で一生懸命にやっているのです。 

しかし、優秀な上司から見ると、それでは物足りないのか、歯がゆいのか… 彼らのレベルでは「まじめ」にやっているようには見えないようです。

だから彼らは、部下を発憤させるために、叱咤をするのです。

ところが、部下は、全力で一生懸命にやっているのです。… 自分なりにね。

彼らには、「自分のがんばり」が上司にどう映っているかなどを考える余裕など無いのです。

彼らは、一生懸命に考えながらも、苦しみ悩んで行き詰まっているかも知れないのです。そして、どうしたら良いんだろう?と立ち止まって考えているかも知れないのです。

その姿を見て、「何もせずに動いていない」と上司は感じているのです。 

部下をフリーズさせない!相手の心に軸をおいて話せる上司になろう

その姿が、「自分の基準」とは違うことで、上司はイライラしてしまっているのです。

そんなタイプの上司達に、私は言いたい。

「部下の表情をもっとよく観察しましょう」
「部下の気持ちを部下の立場で想像しましょう」
「いっそ、部下にどういう心理状態かを、尋ねてみましょう」 

本気で相手軸に立つことが出来れば、部下の悩みが見えてきます

すると、「まじめにやれ」とか「やる気を出せ」とか、なんて「自分勝手な言葉」は口から出なくなります。

これらの言葉は、相手の気持ちがわかっていないからこそ出てしまう言葉なのです。
そして、その結果… 相手は、部下は、スタッフは、やる気を無くしてしまうのです。

この言葉は…
・如何に、相手を思いやっていないか。
・如何に、自分本位で考えているか。
・如何に、相手の成長を心から望んでいないか。
・如何に、相手に対する愛情がないか。 

これらを証明しているだけの、とても危険な言葉なのです。

多くの部下を持つ上司の皆さんに、是非、それを理解して欲しいですね。

次回は「チャレンジした結果の『失敗』を大いに誉めよう」というテーマでお話しします。お楽しみに!

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。