株式会社ケアビジネスパートナーズ 代表原田 匡
2015-10-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ケアビジネスパートナーズ 代表 原田 匡

経営のヒントをうまく見つけるための情報収集術

 このコラムのポイント

情報が氾濫するIT社会において、自分に必要な情報だけを手にいれるのは、ビジネス上でなくとも至難の技ですね。必要な情報を上手に選び取り、チャンスに変えていく…その秘訣を知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


 

1回目のコラムからはや、2か月が経過しました。

2回目の今回は、「経営のヒントをうまく見つけるための情報収集術」というテーマをいただいておりますので、そちらについて、私の思う事や、具体的に行っている事について書かせていただきたいと思います。

情報を制する者はビジネスを制する

「情報を制する者はビジネスを制する」という言葉がある通り、ビジネスにおいて、如何に質の高い情報を迅速に獲得できるかが、企業の大きな生命線の一つとなることは、誰もが疑う事のない事実です。例えば今、私が専門としている介護業界などは、正にその「典型」とも呼べる分野だと申し上げても、決して過言ではないでしょう。なかなか見えずらい行政の動向を日々、タイムリーにキャッチし、未来を予測し、早め早めに然るべき打ち手を講じていく。その仕組みを社内に構築していくことが出来るかどうかが、自社の将来を分ける大きな分水嶺になってきます。或いは、業界を問わず、「如何に好ましい人財を確保するか」「人財が定着する組織をどう作るか」「人財育成の仕組みをどう構築するか」「どのようなマーケティング・ブランディングのシステムが最適か」等々、より効果的・効率的な考え方・方法に触れ、気付き・学びを深め、自社の経営に活かしていく。いずれも、特に変革の時代に不可欠な要素であり、それらの活動の精度は偏に「高い情報収集能力を保有しているか否か」にかかっています。その意味でも是非、起業家・起業家の卵の方々は「情報収集能力向上」というテーマに対し、時間的にも金銭的にも一定の投資をかけていく姿勢が求められてくるでしょう。


では、具体的に、どのような情報収集方法が有効なのか、恐縮ながら、私が実践している事を皆様にお伝えしていきたいと思います。具体的な情報収集の方法として、私は大きくは以下の3点を日々、実践しています。

1.専門・関心分野の雑誌やメルマガ、ニュースサイトを定期購読する

皆様の業界に関わる専門雑誌や、経営に関する情報誌は恐らく数多く存在することでしょう。種類も多く、どの情報誌が最も自分の感性に合うものなのか、始めからは見えずらいこともあると思いますが、私の場合は、始めから制限することなく、可能な限り多くの雑誌・メルマガも全て、最低半年~1年程度は定期購読をするよう意識していました。ただ、1020以上にものぼる全ての雑誌・メルマガに対し、隅々まで目を通す事は、時間的に厳しい側面もあります。そこで、私の場合は、購読している雑誌・メルマガ等の情報が新たに届く度、全て始めから目を通そうとせず、自分のアンテナに引っ掛かるタイトルをピックアップし、それらを情報媒体ごとに整理・クリップしていくことを心掛けました。それらを半年~1年程度続けていくと、どの雑誌・メルマガで自らの関心事が多く取り扱われているのかが一目瞭然になってきます。その段階で購読を継続するか、止めるかの判断を行い、いわゆる「断捨離」を行うことで、入手する情報の精度を高める、という方法を採っていきました。

続いて2番目の方法です。

2.インターネットをフル活用する

ネットサーフィンに加え、グノシー、グーグルアラート、カメリオ、feedly等々、キーワード毎に情報を整理・とりまとめしてくれているサイトや、最新情報が届く度に知らせてくれる機能等を活用することも大変効果的・効率的です。こちらも1)と同様、目が留まったトピックス等を一定期間クリップし、どのサイト・機能が自身の感性に合うのかについて判断し、投下時間のウェイト・優先付けを行っています。

3.書店パトロールを定期的に行う

1)2)のアクションは大変有効ではあるものの、それだけだと、どうしても自分の関心事のみに情報が偏ってしまいます。自分で認識している関心事以外の情報に、実は大きなビジネスのヒントがあった、なんていうことはよくある話です。その意味でも、自身の情報感度を更に研ぎ澄ませることを目的に、定期的に書店等を訪れ、想定外の情報に触れ、新たな刺激を受ける事も大変重要だと思います(私は基本、毎月大型書店に行くようにしています)。

量稽古から質へ、さらなる深い気付きへ

以上、時数の制現上、ポイントを絞ってお伝えしてまいりましたが、最後に、最も重要なことをお伝えさせていただきたいと思います。情報収集能力を高めていくためには、前述の通り、先ずは「量稽古」から質へと転換していくプロセスが適切だと個人的には思っていますが、その活動と同レベルで重要な事は、「収集した情報を咀嚼し、自分の血肉に変えていく」能力を磨くことです。その為には、「インプット」と共に「アウトプット」を実践することが必要となってきます。得た情報に対し、自身の解釈や意見・考察を加えてみる。そして、それらに対し、可能であれば、友人や同志の方々と自身の意見を戦わせたり、それこそ、自身でメルマガを発刊してみたり等を行うことで、更なる深い気付きにつなげていく。そして、それらを通じて培われる思考の「深さ」が更に、質の高い情報を収集する能力基盤となっていく。是非、この善循環を自身の中で生み出していただきたいと思います。

 

株式会社ケアビジネスパートナーズ 代表 原田 匡

1970年生まれ。京都大学法学部卒業。介護特化型コンサルタントとして全国で年間150回を超すセミナー・研修を実施する等(2014年実績)、様々なノウハウを開発・発信している。著書としては「介護元気化プロジェクト(エル書房)」「介護事業所の経営の極意と労務管理・労基署対策・助成金活用(日本法令)」、執筆雑誌としては「デイと運営と経営(QOLサービス)」「シニアビジネスマーケット」等がある。FC本部構築の経験も豊富で、特に介護FCの起ち上げ・拡大には造詣が深い。