株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-04-10 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

あなたのお店は案外知られていない!?現実を受け入れるための「認知度調査」の方法

 このコラムのポイント

フリーペーパーや誘導看板、チラシ配りをして自店は一帯のエリアの人々に知られている―そう思い込んではいませんか?実はこれ、危険の落とし穴です。 正しく自店の認知度を知るための「認知度調査」について元マクドナルド店長の松下雅憲氏に解説いただきました。

フランチャイズWEBリポート編集部


認知度UPのため自店の広告にお金をかけすぎてはいませんか?

「すみません・・・この近くに〇〇と言うお店があるって聞いたんですが、ご存じないでしょうか?」

あなたのお店の周りには、たくさんの人がいます。
お買い物に来ている人。
お仕事の人。
お散歩の人。
お食事のために来た人。
駅まで行くために歩いている人。
この街に始めて来た人。
この街に住んで早10年の人。

では、このコラムを読んでいただいているあなたに質問です。

「彼らはあなたのお店のことをご存じでしょうか?」
「あなたは街にいる人の何%の方があなたのお店をご存じなのかを知っていますか?」

私がセミナーや研修でこの質問をすると、ほとんどの方は「ギクッ!」と言う顔をされます。それは、その答えを知らないからです。

今、あなたのお店に来られている人や来たことのある人は、もちろんあなたの店のことを知っています。
しかし、あなたのお店の周りには、その何倍も何十倍も、何百倍もの人が毎日行き来しています。
その中のほんの数%の人が、新たにあなたの店の存在を知ったら・・・
あなたの店の売り上げは、増えていくのです。

これは単純な理屈ですが、紛れもない真実なのです。
お客様は、あなたのお店を認知したからこそ来て下さるのです。
あなたのお店を認知していなければ来ることはありません。

あなたはそれを知っているから、フリーペーパーに広告を打ったり、誘導看板を設置したり、駅前でチラシを配ったりしているのです。

けれど、どこの場所にいる人が、どれだけあなたのお店のことを知っているのか?
基本的なことを知らないままで行う「認知度向上策」は、果たしてどれくらい効果があるのでしょうか?
もしかしたら、あなたはとてもたくさんの金を無駄にしているかも知れません・・・

自店に対する認知度を知るには街頭で声かけをしてみること

逆に、どの場所のどんな方がどれくらいお店のことを知っているのかわかれば、あなたは、どの場所でどんな方にアプローチすれば認知度が上がるかがわかるのです。

せっかくの集客策です。
効率と効果を高くしたいですよね。

では、どのようにして認知度を調べれば良いのでしょうか?
簡単です。

お店の外に出て「〇〇はどこにあるか教えて下さい」
と、街にいる方に、道を尋ねるように伺えば良いのです。

ただし、あまりにおおっぴらに街頭アンケートのように行ってはいけません。
どんな場所であってもそれは、その場所の管理者に許可を得る必要があります。

そこは、節度と礼儀を守らないとかえってお店のブランド価値を下げてしまうことになりますので注意して下さい。
あなたの店が商業施設のテナントならば、なおさらのことです。

「時間帯」「商圏」「ターゲット」別に、どの層が自店を知っているか見極める

さて、この街頭での認知度調査ですが、大切なポイントが3つあります。
それは、通行量を調査するのと同じように、「いつ」「どこで」「だれに」伺うか?と言うことです。
認知度調査も通行量調査も来店客調査も、全て戦略戦術に結びつけるために行います。
なので、「時間帯」「商圏」「ターゲット」の三要素を具体化する必要があるのです。

認知度調査に関しては

1.どのゾーン・どのポイント近くの人がどの程度ご存じなのか?
2.どの時間帯の人がどの程度ご存じなのか?
3.どういう属性(性別、年代等)の人がどの程度ご存じなのか?

これらを把握することが目的になります。 これらを具体的につかむと

1.どのゾーン、ポイントに対してさらに認知度を高めるアプローチをすれば良いのかが分かる
2.どの時間帯にチラシ配りなどをすれば良いのかが分かる
3.どういう属性の潜在顧客に対してアプローチすれば良いのかが分かる

ただし3については、自店舗のターゲットと違う場合は、何故その属性の方の認知度が高いのかを分析する必要があります。これは、自社ブランドのナショナルターゲットと自店舗のローカルターゲットが少し違う場合に起こりうるケースです。
※ターゲットの種類の違いについては、ハンバーガー業界で理解!繁盛店になるためにかかせない「ポジショニングマップ」とはに書かせていただきましたので参考にして下さい。

マクドナルド、とんかつ新宿さぼてんも認知度調査の結果を重視している

認知度調査は、私が以前勤めていた、マクドナルドやとんかつ新宿さぼてんでは、しょっちゅう行われています。それは、彼らが、店舗戦略を作る際に、この認知度調査の結果が重要な要素であることを知っているからです。

彼らは、毎年きちんと店舗戦略を店舗毎に作っていますから、認知度調査は常識なのです。上記3点のような認知度調査から得られる重要な情報無くして、根拠のある戦略戦術を立てることは出来ません。

では、もう一度あなたにお尋ねします。
「あなたのお店の周りの人たちは、何%の方があなたのお店のことをご存じでしょうか?」

あなたがこの質問に答えることが出来なかったのなら、是非ともすぐに認知度調査をしてみて下さい。きっと新しい視点を学ぶことになりますよ。

間違いなくね。

来週は、そんな新しい視点を学んで売上アップに繋げた店長のお話しをご紹介しましょう。お楽しみに。

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。