フランチャイズ研究会 中小企業診断士楊典子
2015-03-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士 楊典子

女性のための起業タイプ診断

 このコラムのポイント

今回は自身がどのような起業タイプに属するのかを客観視できるコーナーです。熱意があるのもいいけれど冷静に自分を見つめることも大切。この診断結果を心に留めつつ、起業のための準備を進めていきましょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


まずは自身の起業タイプを診断しましょう

こんにちは、女性のローリスク起業を支援する、中小企業診断士の楊典子です。今回は女性のための起業タイプ診断をご紹介します。

起業について、なんとなく、または本気で考えている方は、ぜひこの起業タイプ診断フローチャートで自分のタイプをチェックしてみましょう!

出典:「好きを仕事に!私らしいローリスク起業」(BKC出版)キャリア35著

起業がすべてではなく、自分がどのような価値観を持っているかが大切

所属している女性支援グループ、キャリア35の活動を通じて起業の相談を数多く受ける中で、私は相談者の起業に向けてのステージが大きく3つに分かれることに気がつきました。

そしてそれぞれに、今考えるべきポイントや、はまりがちな落とし穴、必要なアドバイスの方向性が異なるということが分かったのです。

私たちのスタンスは「起業最高!」というものではありません。
その方が「どのような人生を送りたいのか」「何を大切と考えているのか」によって、「起業ではなく、他のやり方を探しましょう」とお伝えすることもままあります。

起業はあくまで自分の望む人生を実現するための「手段」でしかありません。

反対に、十分に能力もあり、準備もできているのに踏み出せない方に対しては、背中を押してあげたいという想いでアドバイスをしています。

まずは自分がどのタイプにあるのかを客観的に確認し、今考えるべきこと、注意すべきこと、知っておくべきことのポイントを押さえておきましょう。

飛びたいペンギンさんへのアドバイス

現在の状況はまだ起業を夢見ている段階。
考えている事業プランにも、計画にヌケモレが数多く潜んでいる模様。
起業したものの、すぐに廃業なんてことにならないよう、一度立ち止まって準備や計画を見直しましょう。
自分に何が足りないのかを客観的に把握し、そこを補いながら、必要な資金を確実に準備していきましょう。

ペンギンさんが陥りやすい落とし穴

・起業の本当の理由が「現状からの逃げ」である

起業をしたい本当の理由、今の仕事や会社に対する不安や不満から逃げ出したいからということはありませんか?「そうかも」と思った方は、まずは自分ができること、本当にやりたいことを棚卸ししてみてください。あなたのやりたいことは、転職やボランティアでもできることかもしれませんよ。

・自分のアイデアが斬新で、成功間違いなしと思い込む

いくらユニークなアイデアでも、それに対して誰がどのくらいのお金を支払ってくれるかを冷静に見極める必要があります。同じビジネスがないのは、商売にならないからかもしれません。ぜひ専門家などから客観的な意見をもらう場を設けましょう。社会経験の長い男性からの意見も、(厳しい分だけ)参考になりますよ(くれぐれも感情的にはならないように・・・)。

悩めるパンダさんへのアドバイス

現在の状況は準備をしつつもまだ具体的な起業の取り組みには踏み出せていない段階。
自分の準備や計画、そして能力に自信が持てず、不安で一杯のようです。
自分の状況を正しく捉えるため、企業経験者や専門家と話し、準備すべき項目のうち本当に欠けているものは何か、しっかりと洗い出していきましょう。

パンダさんが陥りやすい落とし穴

・関連資格を取りまくる

資格の取得が必要な業種で起業を考えるパンダさんが陥りやすいのが、関連資格を取りまくり、時間とお金を浪費するパターンです。自分が提供したいサービスや商品を明確にできれば、本当にその資格が必須なのかが見えてくるでしょう。

・かけるべきコストをケチってしまう

慎重派が多いパンダさん。リスクを必要以上に恐れるあまり、「借金は絶対イヤ!」と店舗物件や内装、広告費をケチって、結果的に集客ができずに失敗するパターンです。リスクを正しく理解し、費用対効果を見極める目を養いましょう。

練習中のイルカさんへのアドバイス

現在の状況は起業まであと一歩という段階。事業計画も練り上げ、情報収集や協力者への働きかけもぬかりなくできていると思われますが、ここでぜひ最終的なチェックを専門家と行ってみてください。
専門家から新たな視点を得ることで、より効果的に売上を伸ばす方法があることに気づいたり、うっかり見落としていた検討ポイントを発見できたりすることでしょう。

イルカさんが陥りやすい落とし穴

・全て自分で解決しようと思う

イルカさんによく見られるのが、全部自分だけでやろうとしてしまい、結果的に起業のタイミングがずるずると伸びてしまうというケースです。専門家の活用は時間を買うことと同じ。多くの自治体では各種専門家の無料相談を行っていますので、自分だけで答えを出そうとせず、このような制度を積極的に活用していきましょう。

・家族やパートナーへの根回しが不十分である

自分の起業に対する成功への確信が高いほど「結果で示せばいいや」と、家族やパートナーへの説明を十分にしないまま進めてしまうケースもよく見られます。新しいことを始めるあなたを、どこか不安そうに見ていませんか?

起業をする前にじっくりと時間を掛けて相手の不安に耳を傾け、誠実にそれに答えてください。そうしておけば、起業後の忙しさで発生しがちなすれ違いも抑えることができるでしょう。

起業に必要なのは熱意と冷静さの両方を併せ持つこと

女性のための起業タイプ診断、いかがでしたでしょうか?
「当てはまる」という所もあれば、「これはちょっと違うかも」という所もあったかもしれません。

起業のように、時間とお金をかけ、周りを巻き込むような取り組みを成功させるためには、「熱意を持って進めるエネルギー」と、「客観的に自分や状況を見つめる冷静さ」の両方が必要です。

前に進む前に、そして立ち止まる前に、ぜひ自分を客観的にチェックすることを心がけてみてくださいね。

次回のテーマは『フランチャイズで起業、本当にローリスク?』です。
どうぞお楽しみに!

フランチャイズ研究会 中小企業診断士 楊典子

福島県出身、立教大学経済学部経済学科卒。新卒から一貫して経営コンサルティング業務に従事し、外資系コンサルティングファーム等を経て独立。五葉コンサルティング株式会社代表取締役。世界的企業から個人の創業まで、多数の支援実績を持つ。製造業の業務改革や各種FC本部構築などに関わる。主な著書にフランチャイズ入門(同友館)、フランチャイズ本部構築ガイブック(同友館)、好きを仕事に!―私らしいローリスク起業(BKC出版)など。