変革を迫られるコンビニ業界! セブン-イレブンの24時間営業や人材不足問題への対策発表のその後

フランチャイズWEBリポート運営部 |2019.10.21
セブンイレブンのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

誕生から約半世紀、様々な進化と変化を続け、今や街のインフラとして欠かすことができない存在となったコンビニ。

しかし、24時間営業を基本とするコンビニが避けては通れないのが昨今の『人材不足問題』です。そうした働き手の確保が厳しくなった社会のなかで、24時間営業という負担がオーナーの過労に繋がっているという問題が注目を集めています。

オーナーとフランチャイズ本部の関係性は何かと話題にあがりますが、コンビニオーナーを取り巻く労働環境、そして社会や環境の変化に今後コンビニはどのように対応するのか。新たな変革を求められるいま、コンビニ各社が発表した「行動計画」とその進捗状況をみていきましょう。

社会の変化がコンビニオーナーの負担に

1970年代に日本に初めて誕生したコンビニは、小売業から徐々にサービスの幅を広げて、いまや日常生活に無くてならない社会のインフラとなっています。そんなコンビニですが、2019年以前からコンビニオーナーは過重労働や無理な働き方が多く、オーナーでありながらブラック企業勤めと同じ、本部の奴隷であるといった過酷さを語る声は一部から出ていました。

ではなぜ、今回はここまで世間の関心を引くことになったのでしょうか?

発端となったのは、2019年2月に大阪府でセブン-イレブンを経営するオーナーが、本部に無断で時短営業に踏み切ったという報道。この騒動をきっかけに、コンビニの人材不足の深刻化などの理由で24時間営業を続けることが厳しいという声が各地のコンビニオーナーからも上がるなど、契約に縛られないオーナーの行動の大きさからも、社会問題として取り上げられ、議論されるほどになったのです。

コンビニオーナーがブラックだと言われる理由

コンビニ誕生以降、利用者のニーズに応えるため取り入れられてきた、銀行ATMや公共料金の支払い、郵便関係、チケット予約・販売などは、取り扱い業務領域の拡大になり働き手の負担は増加。さらに、昨今の人件費の高騰や人手不足の影響から、24時間営業維持するためにオーナー負担が増加、本部が主導するドミナント出店戦略による競合店の増加で1店舗あたりの売上減少など様々な負担がオーナーにのしかかっています。

そうした一方で、営業時間の変更や定休日の導入などを決める裁量はオーナーになく、ロイヤリティの表面上の数字の高さからその収益構造は本部だけが儲かるビジネスと言われることも少なくありません。

しかし、これらコンビニの問題はいまに言われ始めたことではなく、コンビニ経営に関しては、ウェブリポで2016年に公開した記事「コンビニ経営は悲惨?地獄?セブン出身のコンサルタントの視点」は、いまだに高い関心を集めています。

経済産業省が実施したコンビニ調査から見えるコンビニ経営の実態

こうした問題を受けて今回、経済産業省がコンビニオーナーに対して調査を実施。2019年3月26日に発表された「コンビニ調査2018」では、約40%のコンビニオーナーから回答があり、コンビニ経営の現状を垣間見ることができました。

コンビニ調査 2018 結果概要(経済産業省 消費・流通政策課)を一部抜粋

調査対象 セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンを含む8社のコンビニ加盟店オーナー
回答者 対象者約30,757に対して回答者11,307人(回答率37%)
調査期間 2018年12月~2019年3月24日
結果開示 2019年3月26日

Q1.従業員は足りていますか?

人材不足の理由

・募集しても来てくれない
・コンビニ業務が複雑になっている

Q2.加盟したことに満足していますか?

満足していない理由

・想定よりも利益が少ない
・労働時間/拘束時間が長過ぎる

本部に求めること

・店舗で人員が不足した際に支援をしてほしい
・店舗から本部への相談にきめ細かく対応してほしい

Q3.契約更新をしたいですか?

更新したくない理由

・休みが取れない、体力的に限界
・本部の圧力/ロイヤリティーが高すぎる

不安となっている要素

・人件費の上昇/人手不足
・24時間営業の継続/休みの取得が困難

前回比でコンビニ加盟に不満を持つオーナーが倍増

前回のコンビニ調査2014と比較して、今回の2018年に実施された調査で特に注目する点は、「Q2.加盟したことに満足していますか?」という問いに対して、「満足していない」と答えた人が17%から39%と2倍以上になったことでしょう。

人材不足を要因とした雇用の難しさやオーナーの体力の枯渇、本部と加盟店のコミュニケーション不足など様々な問題を背景に、加盟店満足度は低下。「Q3.契約更新をしたいですか?」という問いに「契約更新したくない」というオーナーは微増ながら、「わからない」というオーナーは大幅に増加するという結果になりました。

社会インフラの持続的な発展のために国も連携

この「コンビニ調査2018」のコンビニオーナーの声を基に、2019年4月、経済産業省の世耕弘成大臣とコンビニ各社のトップが意見交換会を実施。

国民生活にとって必要不可欠な社会インフラとして持続的な発展が求められるコンビニに対し、そのコンビニ経営を支えるオーナーと向き合い、共存共栄の形を実現するために、今後の「行動計画」を策定するようコンビニ各社へ求める動きに発展しました。

今後の取組を示すコンビニ各社の「行動計画」

変革を求められるコンビニ各社が2019年4月25日前後に発表した行動計画には、24時間営業に対する本部の体制、省人化を進めるためのIT導入、人材派遣や人材定着についての取り組みなどがありました。

下記に行動計画の一部を抜粋してご紹介します。

2019年4月にコンビニ各社が発表した「行動計画」とは?(一部抜粋)

セブン-イレブンの行動計画

・セルフレジを2019年9月以降から導入を促進
・2019年3月以降、営業時間を短縮する実験をFC加盟店を含む計13店舗で実施
・部長・役員が訪問して加盟店とのコミュニケーションを強化、他
(外部リンク:セブン-イレブン・ジャパン「行動計画」を策定

ファミリーマートの行動計画

・セルフレジを2019年度内に現状の5倍の5000台導入
・2019年6月から地域を限定して営業時間を短縮する実験を実施
・加盟店とのコミュニケーション強化として加盟店相談室を拡充、他
(外部リンク:ファミリーマート加盟店支援「行動計画」に関するお知らせ

ローソンの行動計画

・セルフレジを全約1万4000店で利用できるようにする、深夜帯の無人営業実験
・オーナー側からの希望に応じて営業時間の短縮を約40店舗ですでに実施
・加盟店とのコミュニケーション強化のため「ローソン加盟店アドバイザー委員会」を設立、他
(外部リンク:ローソンの加盟店支援ならびに加盟店との関係のさらなる強化策について

ミニストップの行動計画

・自動釣銭機レジを2019年5月中、セルフレジを2020年中に全店導入
・24時間営業を選択しない契約タイプあり
・2021年度からFC契約に利益配分モデルを導入、他
(外部リンク:イオンのコンビニエンス事業に関して

デイリーヤマザキの行動計画

・2019年9月より新型レジを順次導入
・オーナー側からの希望に応じて営業時間の短縮を検討
・加盟店とのコミュニケーション強化のため工場と連携した製品提案会を開催、他
(外部リンク:デイリーヤマザキ加盟店運営に関する基本方針

コンビニ業界全体が省人化対応などオーナー負担軽減へ

この他にも、従業員の確保、オーナーの待遇、本部とオーナーの役割分担、本部のサポート体制やコミュニケーションについてコンビニ各社が取り組みをまとめていました。今回の「行動計画」では、人手不足など社会の変化によって増加したオーナー・店舗業務を、IT技術の導入や運営方法の見直しによって改善を図っていくという内容に。

業界No.1のセブン-イレブンのコンビニ改革の今

実は行動計画公開前の2019年4月8日に、永松文彦取締役副社長営業本部長を代表取締役社長に据える新体制を発表していたセブン-イレブン・ジャパン。「事業構造改革」を掲げ、従来は年間予算の6割を新店舗開発に割いてましたが、2019年度はそれらを抑えて、年間予算1450億円の6割を既存店向けの設備投資に充てると発表していました。

そして行動計画の発表から5ヶ月経過した2019年9月25日に、店舗数・売上ともにコンビニフランチャイズ業界1位のセブン-イレブンが「行動計画の進捗状況について」のリリースという形で、現在の進捗について途中経過の報告が行なわれました。

加盟店オーナーとのコミュニケーションの強化や省人化支援が具体化

今回の24時間営業に関する騒動に対して、セブン-イレブン・ジャパンは本部と加盟店とのコミュニケーション不足が原因だったとしています。そこで、策定した行動計画ではSVだけではなく、役員・部長による加盟店の訪問や、アンケート制度新設を掲げるなど、加盟店に寄り添う姿勢を打ち出していましたが、そちらの進捗も報告されていました。

役員・部長による加盟店訪問の実施 千葉ゾーン、南九州ゾーン、関西ゾーン、東海ゾーンの4エリア、272店舗訪問済
※2019年8月末時点
アンケート制度の新設 7〜8月で全店を対象にアンケートを実施

その他にも、シフト・作業割当表の自動作成システムの導入や、セルフレジの導入やスタッフ研修の充実化といった、省人化や人員の育成などオーナーへの支援策の進捗も発表されていました。

オーナー負担を軽減するシフト・作業割当表の自動作成システムを試験的に導入へ

また、2019年12月より「効率的な店舗運営」を実現するため加盟店オーナーの業務負荷を減らすサポート『シフト・作業割当表の自動作成システム』の導入テストを行なうことが、2019年10月7日に発表されました。

従来は、オーナーが自店の客数や、納品量・時間等を踏まえ、時間帯別、個人別に作業を振り分け、表にして運用していた作業割当表は、納品時刻や人員の入れ替えによって都度作り直す必要がありました。

これを、店舗の作業に要する時間の計測や、商品の納品時刻、客数等の情報を入力・分析し、店舗ごとに最適な作業割当表を自動で設計するシステムが導入される予定です。

シフトの自動作成システムについては、作成された作業割当表をもとに、時間帯ごとの必要人員を明確にし、シフト表を自動で作成するシステムだそうです。

作成したシフトはスマホで確認できるほか、申請や承認をスマートフォンやタブレットで出来るため、従来よりも個人の予定変更がリアルタイムで調整可能で、従業員としても店舗にシフト確認に行く必要もなくなるとのこと。

社会的関心の高い『24時間営業』への1つの解

今回もっともコンビニ経営で問題の一つとされている24時間営業。セブン-イレブンでも改善策として、一部店舗を対象に営業時間短縮の実証実験をしていますが、2019年10月10日にこれら「行動計画」に加えて、インセンティブ・チャージ(ロイヤリティ)の見直しを図ると発表がありました。

現在のインセンティブ・チャージ

24時間営業店に対して、所定のチャージ率を2%引き下げ
セブン-イレブン・チャージ1%特別減額(2017年9月1日から)

インセンティブ・チャージの見直し後

24時間営業店 営業時間短縮店
売上総利益額 550万円超 550万円以下 550万円超 550万円以下
セブン-イレブン・チャージ1%特別減額
24時間営業店向け施策、所定のチャージ率を2%引き下げ
月々のチャージ減額 35,000円 200,000円 15,000円 70,000円

インセンティブ・チャージの見直しにより、本部は約100億円の利益が減り、加盟店は1店舗あたり年間利益約500,000円が改善する見込みということです。(新インセンティブ・チャージは2020年3月より適応予定)

24時間営業と非24時間営業の店舗に対してチャージ(ロイヤリティ)を変化させることで、加盟店が立地や人材雇用の状況に合わせて運営方法を選択しやすくなると推測されます。現在進められているその他の加盟店支援策とあわせて、オーナーごとに適した柔軟な店舗経営が期待できるでしょう。

2019年11月から時短営業を本格実施へ『深夜休業ガイドライン』を作成(10/21追記)

2019年10月21日にセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長が東京都内で記者会見し、4月から230店舗で行ってきた深夜休業という形での試験的な時短営業の結果を踏まえ、11月より8店舗で正式に時短営業へと移行する、と発表。

その発表では、時短営業を希望するセブン−イレブンのフランチャイズ加盟店向けの重要事項をまとめた「深夜休業ガイドライン」制定にも触れ、今後はそのガイドラインに則れば、オーナーの判断で24時間営業か時短営業かを選択できるようになっていくとのこと。

まずは8店舗でのスタートだが、オーナーの意向や地域特性に合わせる形で、今後は非24時間営業のセブン−イレブンが増えていくことが予想され、24時間営業が基本となっていた日本のコンビニ業界が、業界最大手のセブン−イレブンの打ち出す方針によって大きく変わろうとしています。

社会変化への対応で、柔軟性を増すコンビニの先は明るい?

今回はセブン−イレブンのFC本部であるセブン-イレブン・ジャパンが「行動計画」の進捗状況という形で中間報告をしていましたが、コンビニ各社がそれぞれの行動計画をもとに取り組んでいます。今後は業界2位のファミリーマート、3位のローソンも取り組みの進捗について発表があるかも知れません。

また、当記事ではコンビニオーナーの厳しい面を中心に見てきましたが、コンビニ調査2018の結果では不満の声は増えたものの、いまだ半数以上のオーナーは加盟したことに対して「満足している、おおよそ満足している」という回答でした。人手不足問題は待ったなし状況で軽視できない問題ではありますが、一概に全てのオーナーが苦しんでいるというわけではないという点には留意しておきたいところです。

1970年代に日本にコンビニ業態が誕生してから、およそ半世紀。その間、社会の変化に合わせて進化してきたコンビニは私達の生活に根付き、街のインフラとして地位を高め、ときには以前にご紹介したデイリーヤマザキの大規模災害時の緊急食料供給など、いまや社会に無くてはならない存在になりました。

しかし、その社会全体も日々変化をし続けています。人材不足という新しい問題や、働き方の多様性によるコンビニのニーズ拡大、地方の買い物弱者の増加など、社会の変化にどのように合わせていくのか。コンビニ各社の取り組みとしてはまだまだ途中ではありますが、確実に変わっていくことは間違いないでしょう。

コンビニ業界はこれまでにない大きな変革を迎えようとしています。


セブンイレブンのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

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