ATカンパニー株式会社 代表取締役浅野 忍土
2016-01-12 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

多店舗展開のプロが語る!加盟検討において直営店とフランチャイズ店の割合は気にすべきか?

 このコラムのポイント

チェーン展開している店舗というのは、直営店とフランチャイズ店この2つに分けられます。今回はこの比率を見てどう考察すべきかについて、経営コンサルタントの浅野忍土氏独自の視点から解説。独立起業、新規事業立ち上げなどビジネスをお考えの方必須の内容です。

フランチャイズWEBリポート編集部


フランチャイズ店、直営店の比率はフランチャイズ本部経営者の方針による

このテーマは大変に難しい視点です。

私が考えるに、直営とフランチャイズ店の割合は、その時点における単なる指標であり、それ自体は根本的な問題ではないと考えます。(直営店とフランチャイズ店の違いがわからない方はこちら

むしろ、重要なことはフランチャイズ本部の加盟店(オーナー店)に対する支援体制など、フランチャイズ本部のフランチャイズシステムに対する取組みをしっかりと見極めること。これが重要です。

一般的に見て、フランチャイズ展開に重きをおいている本部は、直営比率が低いと言えます。しかし、その比率は業態や経営者の考えによっても、大きく異なってきます。

直営店とフランチャイズ店の比率が「業態」に応じて変わる理由

1.コンビニの場合

例えば、コンビニなどはある一定のオペレーションが確立されてしまえば、本部自体が直営を運営し、運営上のノウハウを構築する必要は無くなると言えます。コンビニという業態を考えれば、それ自体が販路であり、コンビニ本部はある種のメーカーであります。

故に、本部は直営を増やす展開よりも商品開発とその卸に徹することなります。

過去のデータではありますが、あるコンビニチェーンの直営比率は5%程度です。つまり、大多数がフランチャイズ店舗なのです。こうした傾向は小売系のフランチャイズチェーンで、よく見られる傾向です。

2.外食業態の場合

次に、外食業態などは、また異なる要素を持っています。チェーン展開を推進する事で、仕入れコストなどのバインディングパワーを強化する為に、フランチャイズ展開することがあります。

例えば、首都圏に徹底して直営で出し、多くの店舗数を展開するが、一方、本部が取り組まない(取り組めない)地域、地方圏をフランチャイズ展開している例などは、一見すれば店舗数は直営主体かも知れませんが、フランチャイズ展開を上手く利用し、全国展開を図っているとも言えます。

3.人に依存する事業体の場合

最後は仕入れの発生しない人に依存する事業体。

例えば、マッサージなど理美容ビジネス系の事業などでは、2のように自社の主力地域以外はフランチャイズ展開を行う例もありますが、注意すべきは本部で取り組まない地域をフランチャイズ展開する考えのフランチャイズ本部です。

言ってしまえば、本部として、売上の見込める地域を自分たちで取り組み、それ以外をフランチャイズ展開すれば良いと考えている本部も存在する為、注意が必要です。

こんなフランチャイズ本部にも注意すべし!

フランチャイズ展開を中心に力を入れているが、よく分析すると、とにかく新規加盟を獲る事だけに注力している本部も要注意でしょう。

とにかくフランチャイズ加盟店が加盟と脱退を繰り返し、加盟店が増えていない本部が存在します。その場合、フランチャイズシステムに問題があるとも言えます。つまり、加盟店が本部の説明通りに、実績を残せていないチェーン等は注意が必要です。この場合、注意すべきは、

1.店舗での成功事例、失敗事例を拾い上げる仕組(SVなどの仕組)がしっかりと構築されていないフランチャイズ本部
2.成功の為の運営等のノウハウをしっかりと加盟店に伝える仕組(SVや教育などの仕組)がしっかりと構築されていないフランチャイズ本部

この様なフランチャイズ本部は注意すべきと考えます。

フランチャイズの加盟検討をする場合に注意すべきポイントとは?

加盟を検討する起業家の方、法人様が注意すべきは、直営、フランチャイズの比率よりも

1.業態毎の特性とそれにあったフランチャイズ展開を行っているチェーンかどうか?
2. しっかりとノウハウを吸い上げる機能があるチェーンかどうか?
3.成功ノウハウとしっかりと伝える機能があるチェーンかどうか?

まずはこの3点をしっかりと見極める事が重要と考えます。是非、これら視点を参考に、事業選定を行って頂ければと思います。

ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

経営コンサルティング会社でフランチャイズ開発に携わり実績を上げた後、2009年ATカンパニー設立。各企業の経営戦略に沿って有望な新規事業を提案。小規模デイサービス事業、乳幼児教育事業など幅広い業種のフランチャイズ企業を支援。支援チェーンの一つ、乳幼児教室「TOE Baby Park」は3年半で、200加盟達成。2009年10~2014年9月までに延べ272件、月平均約5.4件ベースで加盟開発を実現する等、短期間での多店舗チェーン作りを得意とする。