ATカンパニー株式会社 代表取締役浅野 忍土
2016-01-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

「フランチャイズビジネスで売上が上がらない!」と思ったら考えたい3つのポイント

 このコラムのポイント

フランチャイズは、蓄積された成功ノウハウを活用して独立開業できる画期的なビジネスモデルです。ただそれでも、成功できる確率が100%とは言えず、時には本部が提示している収益モデル通りに事が運ばないことがあるのです。そんなときにオーナーはどう対応すべきか?経営コンサルタントの浅野忍土氏に解説していただきました。

フランチャイズWEBリポート編集部


FCビジネス収益が上がらないときに考えたいポイント3つを解説!

フランチャイズ(FCと同義)に加盟し、大きな期待を抱いて出店、開業してみたものの、思うように収益が上がらない状況に直面した場合、加盟者はどのような対処をすべきか?こんなご相談を良くいただきます。

今回はモデルの事業計画通りに事業が立ち上がらなかった場合の対処、対応に関して、お話したいと思います。話の前提として、店舗ビジネスを想定して、お伝えいたします。

今回のコラムで重要なキーワードを並べておきます。

・SV(スーパーバイザー)
・ベンチマーク
・成功事例、失敗事例
・加盟店
・現場

1.多数の事例を知る「SV(スーパーバイザー)」を徹底的に活用する

まず現状を把握する上で、最も活用すべきはSV(スーパーバイザー)です。
しっかりとSVが機能している本部ならば、チェーンにおける各店舗の状況を詳細に把握しているはずです。更にはチェーンごとに、経営上の重点管理指標が存在し、SVが徹底的に管理しているはずです。

加盟店側はそうした指標に照らし合わせ、自社の店舗がどのような状態にあるのか?を詳細に把握することが必要です。

さらには、成功店舗をベンチマークすることも大変重要です。自社と比較し、成功している店舗は何が違うのか?
成功している店舗で行っていて、自社で行っていないことは何かなど、しっかりと理解することが重要です。

同時に失敗事例、失敗店舗に関しても、情報収集すべきでしょう。もしかしますと、自社は失敗店舗が犯した同じ間違いを行っているかもしれません。

こうした情報やデータ、そして事例を収集し、分析しているのがSVです。ゆえに、徹底してSVを活用し、改善課題を明確にして、順を追って改善施策を投下することが基本と言えます。

2.本部の指導通り(研修など)に動いていたか見直しをする

基本と言えば、開業前に実施された研修を見返すことも大変重要です。
研修でしっかりと学んだはずが、開業後、自己流の取り組みをしてしまい、本来行うべきことを実施していないなどということも、失敗したケースとして、見られます。

弊社が過去支援してきた介護事業や放課後等デイサービス事業において、例えば、収益モデル通りの成果を上げるために、ある一定量の訪問営業を行うことを定量的に定めておりました。

しかし、モデル通りに立ち上がらない店舗はよくよく調べてみると、現場では目標数値を下回る活動しかしていないなど、根本的な課題が浮き彫りになりました。

顧客獲得の為に訪問営業における活動量が大事だということは研修で繰り返し伝えていたのですが、業績が伴わない店舗では十分な営業活動が実施されていませんでした。
逆に、業績が好調な店舗は研修通りに活動をしていたのです。

これら事例を考えても、本来は開業前から、徹底して研修内容やマニュアル内容を読み込み、熟知して、事業展開をされることをお勧めします。「フランチャイズ」とはある一定の成功ノウハウが確立されたビジネスモデルを購入する、そんなビジネスモデルとして存在すべきものです。

ゆえに、先行して確立されたノウハウを徹底的に熟知して、事業に取り組むことが重要なポイントです。

3.成功オーナーを参考に。横のつながりを利用する

次に、実施すべきことは徹底して、横のつながりを活用することです。フランチャイズは同じ業態を異なる会社、個人が運営、経営しています。
その中でも必ず成功している店舗は存在するはずです。

同じブランドを展開する仲間として、可能な限り加盟店通しのつながりを活用し、ノウハウを吸収されることをお勧めします。本部を通じてなのか、直接なのか、何れにしても、成功している加盟店に直接ヒアリングをさせて貰ったり、また実際に現場に入れてもらい、成功しているお店がなぜ成功しているのかの秘訣を直接的に体験することを通じて、理解することは理想です。

これは可能な限り、経営者、オーナーが行うべきです。本気で事業を成功させたいならば自身で見て、体験し、何が改善点なのかしっかりと学ぶことがその後のマネジメントに良い影響を与えます。

フランチャイズビジネス成功の鍵は「加盟前」の見極めにある

以上、事業を改善する為の視点として、参考としていただければと思います。事業成功の為には近道はありません。ビジネスモデルが確立されたFCチェーンにおいて、基本を徹底することこそ、事業成功の近道と言えます。

もし、SV機能や研修機能が十分でない、その他、成功店舗が存在しないなどの場合には当然、独自の努力が必要です。最悪な場合には撤退を検討する事も必要となります。

本来、FCビジネスが成功するかどうかは、加盟前から十分にFC本部を見極めることこそが最も重要な視点と言えます。

ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

経営コンサルティング会社でフランチャイズ開発に携わり実績を上げた後、2009年ATカンパニー設立。各企業の経営戦略に沿って有望な新規事業を提案。小規模デイサービス事業、乳幼児教育事業など幅広い業種のフランチャイズ企業を支援。支援チェーンの一つ、乳幼児教室「TOE Baby Park」は3年半で、200加盟達成。2009年10~2014年9月までに延べ272件、月平均約5.4件ベースで加盟開発を実現する等、短期間での多店舗チェーン作りを得意とする。