株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-02-14 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

マクドナルド出身のコンサルが語る!店舗経営で「顧客ターゲット」を絞るメリット

 このコラムのポイント

繁盛店になるためには、顧客ターゲットを細かく絞ることが実は有効であることをご存知でしょうか。これをターゲッティングといいますが、2種類の手法があってそれぞれをバランスよく取り入れることが重要なのです。では具体的に何から手をつければいいのかについて解説を読み進めてください。

フランチャイズWEBリポート編集部


狙うべき見込み客を絞る=ターゲッティングを行い集客の効果を底上げ!

私が研修やコンサルティングで、店長や経営者にこのようにお尋ねすると、多くの方が次のように答えてくださいます。

「女性がターゲットですね」
「うちは男性をメインに考えています」

どのようなお客様に来ていただきたいのかを考えるときに、まず性別をはっきりさせておくことはとても重要です。
では、女性がターゲットだとお答えいただいた方へ次の質問です。

「その女性の年代はいくつくらいの方でしょうか?OLですか?学生ですか?主婦でしょうか?」
「その方と、あなたの店の接点は何でしょうか?」

ターゲットとは、「あなたのお店を利用されるお客様がどのような方なのかを少し具体化したもの」です。
あなたのお店を利用されているお客様の共通イメージと言っても良いかもしれません。

例えば・・・
・属性は?・・・20代後半から30代前半の独身OL
・趣向は?・・・美容と健康に関心が高い

このように細かい項目まで絞るのがターゲッティングです。

ではなぜ、このように細かく設定をする必要があるのでしょうか?
それは、集客策を行う際に「より具体的なお客様」を狙う方が効果と効率が高いからです。

チラシを新聞に折り込むにしろ、駅前で手配りするにしろ、フリーペーパーに広告を載せるにしろ、店頭でお声がけをするにしろ、「どんな人」に「どんな場所」で「どんな時間」で「どんなメリットを訴求」するのかは、このきめ細かく具体的なターゲット像が決まっていなければ、せっかくのアクションを外してしまうことになりかねないからです。

だって、OLを狙っているはずなのに、男性やシニアや女子高生にチラシを配っても意味ないですよね。
また、美と健康に興味のあるOLに「大盛り無料!」のチラシを配っても響かないのです。

つまり、ターゲッティングとは、「新規客集客」「再来店促進」「客単価向上」などの作戦をしようとするときに、店長以下スタッフ全員が、「だれに」「なにを」「どこで」「いつ」「どのように」アプローチするのかについて「共通認識」を持つ為の重要な作業なのです。

2種類のターゲッティング手法。混合型の場合も

ターゲッティングをもう少し詳しくお話ししましょう。
店舗ビジネスを展開する企業にとっては、ターゲッティングは、2種類あるのです。

ひとつは、企業ブランドとしてのナショナルターゲッティング
もうひとつは、お店毎のローカルターゲッティングです。

チェーン展開しているファーストフード、カフェ、コンビニエンスストアなどを見ていると、このふたつのターゲットを両方ともしっかりと理解して店舗運営をしているところと、全くバラバラなところに分かれます。

ナショナルブランドとしてのターゲッティングの意味は、「看板の安心感」です。なじみのない街でその看板を見つけたお客様にとっては、それは「安心保証」となるのです。

海外旅行で日本にもあるなじみの看板を見つけるとホッとしますよね。

このように、ナショナルチェーンは、誰が見てもわかる様にその安心感をTVCFや看板、外観、ユニフォームなどで、それを表現します。

ところが、ターゲッティングには、ローカルエリア、つまり各個店個店毎の「商圏」があるのです。そこには、「ナショナルターゲット」があまり存在しないエリアもあるのです。

マクドナルド躍進の理由はターゲッティングの本質を直営もFCも理解していたから

たとえば、マクドナルドでは、かつて「十代後半から二十代の女性」と「お子様連れのお母さん」というふたつのメインターゲットを定めた時期がありました。(今も基本的には同じだと思います)

このふたつのメインターゲットに対して、企業はそれぞれにマッチングさせたTVCFやキャンペーンを行っています。

しかし、店長がそれを理解していないと、都心店で「お子様連れのお母さん」をメインに訴求したり、郊外店で「十代後半から二十代の女性」をメインに訴求したりしてしまうことが起きるのです。

もちろん、都心店にも郊外店にもどちらの潜在顧客はいますから、その効果はゼロではありません。しかし、よりポテンシャルの多い方にアプローチする方が効果効率は高いのです。

マクドナルドの場合は、まだターゲットの範囲が広いですから無駄にはなりにくいのですが、カフェや美容室、携帯電話ショップ、来店型保険ショップなどは、もっとローカルエリアの潜在顧客層にあったアプローチをした方が集客効果は高くなるのです。

全国にチェーン展開しているナショナルブランドの多くは、極端にピンポイントを狙うようなターゲッティングはあまりしていません。しかし、基本となるターゲット像ははっきりとしているはずです。


チェーン本部としては、各店がそのコンセプトを理解しているかどうかを確認し指導すると同時に、その店のエリア、商圏を分析した上で、「ローカルターゲット」にマッチするようなアプローチ方法を指導しなければなりません。

かつてのマクドナルドが大きく躍進した理由、そして今もローカルのマクドナルド(ほとんどがフランチャイズ)が地域のお客様の支持を失っていない理由は、店長もFCオーナーもそのことをよく理解して店舗運営をしているからなのです。

ナショナル&ローカルいずれの視点も把握する=繁盛店への道

「商圏」「立地」「ターゲット」には、密接な関係があります。そのためには、自社ブランドとしてのナショナルの視点と、自店舗としてのローカルの視点の両方をよく把握する。
その上で、どちらに重心を置くかと言う「戦略」をお店毎に定めることが「繁盛店」への道なのです。

さて、あなたのお店の「ナショナルターゲット」と「ローカルターゲット」はどんな人ですか?
その方達は、どこにどれだけいますか?
あなたは、その方達の所に届くようにあなたのお店の存在と特徴・利点をアプローチしていますか?

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。