合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表中土井 鉄信
2016-02-15 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

受験生&保護者のためのメンタルサポート法| 塾経営者・塾講師の方へ

 このコラムのポイント

受験シーズン真っ只中のこの時期。塾専門の経営コンサルタント、中土井鉄信氏が、受験生とその家族への接し方や受験直前の時期に生徒に対してできることを解説。塾業界に携わる方必見のコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


塾経営者たるもの生徒と保護者のメンタルコーチになるべし!

前回は、学習塾でアピールしたいものを考えてもらいました。今回は、受験シーズンということで、学習塾での仕上げである受験、それも受験生ケアについて知っていただこうと思います。

学習塾の業務のゴールは受験生を志望校に合格させることです。そのために、何年も、何ヶ月も生徒指導を行い、教科指導を行い、進路指導を行って、合格というゴールに導いていくのです。

しかし、入試は水物ですから、何があるか分かりません。万全を期して最終的なツメを行ったとしても、当日、生徒が熱を出すとか、雪が降るとか、交通事故等の影響で電車が遅れるとか、色々なことが起こり得るのが入試です。

そこで、重要なのが、受検生や保護者に対するメンタルケアです。読者の皆さん、知っていましたか?

昨年のラグビー日本代表の奇跡的な勝利の裏には、メンタルコーチがいたことを。世界で活躍するアスリートには、大概、メンタルコーチがいます。塾業界に携わる私たち(これから塾経営をしようとしている方も)も受験生のメンタルコーチになって、入試当日、受験生が最大の力ができるように導いていきましょう。

入試が迫ってきたら家庭学習計画表をオーダーメイドで作成

では入試が迫ってきたこの時期、何をすればよいのか。

まずは、個人別に家庭学習計画表を作成し、どの教科をどのくらい勉強したらよいのかを示すことです。

ここは、経験知がものを言うところですから、ちょっと難しいかもしれません。古い話になりますが、私が、現場にいた時は、大体3パターンぐらいの家庭学習計画表を作って、生徒の名前だけ手書きにして、「君のために先生が作った家庭学習計画表だから、これに沿ってしっかり勉強をやれよ!」と言って配っていました。
生徒は、非常に喜んで「私のために?!先生ありがとう!」なんていいながら、もらってくれたものです。

受験生と保護者の不安を解消する方法4つ

作成上の注意点ですが、勉強をするところは、具体的にしておいた方がよいのです。入試が近づけば近づくほど、受験生も保護者も不安になるものです。不安を解消するポイントは具体的に示す!ということです。

1.具体的に勉強すべきページを示す

たとえば、「教科書をやればいいよ」という指示ではなく、「教科書の何ページから何ページを何日でやって、次にこのページをやれよ!」という具合にアドバイスすることです。この時期に、質問や相談に来る生徒や保護者には、極力具体的に指示することです。曖昧な指示や抽象的なアドバイスでは意味がないのです。もっと言えば、不安感を増幅させてしまうことになりますから、気を付けてください。

2.受験に成功した先輩の事例を話す

次に、入試が直前に迫ってきたら、機会があるたびに、授業中は、今までの先輩の成功例を話すようにしたいものです。ここからこういう風に勉強すれば、あの先輩のように入試では成功するぞというようなことを過去の体験談として随時話して、受験生に成功の代理体験をさせてください。

この先輩の話しは、自分の過去の経験でも構いません。また、励ますだけではなく、たまには、脅かすこと(=気が抜けないように)が、この時期重要なことです。緊張感を持たせるようにしてください。緊張した中で入試が行われるのですから。

3.壮行会を開き生徒の自信を喚起させる

また、入試直前は、壮行会を企画します。受験生を集めて、今までの苦しい状況を思い出させ、その苦しい状況を乗り越えてきた経験を思い起こさせ、自信を喚起します。

特に夏期講習で頑張った経験、その経験があるから、入試に臨んでも、しっかり入試をクリア出来るのだと言うメッセージを伝え、生徒一人ひとりが、この教室にとってかけがえのない生徒なんだというメッセージで締めくくってください。感動的な壮行会ができれば、受験生たちは、合格の決意を強くして、入試に臨めるはずです。

4.入試前日・当日朝に電話で激励と入試の注意事項などをアドバイス

最後に、入試前日は、夕方から夜にかけて電話で激励し、翌日の注意事項を話し、明日の朝何時に起きるのかを聞いて、早く寝るように促してください。

そして、入試当日は、入試応援にいけない学校の受験生には、朝電話を入れることです。これまた古い話になりますが、まだ携帯電話がなかった頃、応援に行く学校の駅前の公衆電話で必死にテレフォンカードを入れて電話をしていました。受験生は物凄く驚きますが、元気になります。

「おはよう!今日は元気出して、一生懸命自分の力を出してこいよ!名前書き忘れるなよ!先生は、今日応援に行けないけど、心の中で応援しているからな、頑張ってこい!」と、こんな電話を入れたものです。

入試は学習塾の真価が問われる場。生徒・保護者の心のケアもしっかりと

最近は、生徒や保護者の精神力は、非常に弱いと思います。ですから、受験生ケアを徹底したいものです。不安と戦う受験生や保護者の味方として学習塾があってほしいものです。

入試時期に、学習塾の本当の真価が問われます。入試が学習塾の仕上げなのです。ぜひ、精一杯ケアをし、最後に合格の感動を生徒や保護者と共有できるようにしてください。この取り組みは、評判を呼ぶことになるのですから。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

教育機関NO.1クラスのコンサルタント。学習塾における運営コンサルティングの依頼は、規模も、指導方法もニーズも様々であるが、的確な判断力と、データ分析力で今までに携わった学習塾は全国津々浦々80塾以上。 在籍数減少など苦境に陥った多くの学習塾の再建を成功させた手腕と、歯に衣を着せぬ人間的な魅力で、全国の教室オーナーからの信頼は厚い。また、私立学校のコンサルティングや全国各地の教育委員会での講演や管理者対象研修などの依頼も多く、日々、全国を飛び回っている。