合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表中土井 鉄信
2016-01-18 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

教育コンサルが語る!学習塾経営で失敗しないために「絶対してはいけない5つのこと」

 このコラムのポイント

今回のコラムでは、学習塾経営の失敗例も数多く見てきた教育ビジネス専門のコンサルタントが、学習塾経営で失敗しないための秘訣について5つ解説しています。塾ビジネスを「収益化」するためには「思い」だけでは成功できません。しっかりポイントをおさえておきましょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


学習塾経営で失敗しないために。してはいけないこと5つ

前回は、コース設計における利便性=時間帯と1時限あたりの時間数についてお伝えしました。今回は、今年第1弾ということで、学習塾経営でしてはいけないことを5つに絞ってお伝えいたします。
それでは、まず、絶対にしてはいけないことを5つあげましょう。

1.自分の思いをそのまま顧客にぶつけない
2.ビジネスを切り捨てない(教育を切り捨てない)
3.保護者を無視しない
4.近隣を無視しない
5.学ばない

1.自分の思いをそのまま顧客にぶつけない

私どものコンサルの事例でお話をします。7年前に出会った若干25歳の青年は、見よう見まねで塾を創り、自分の思いを全面的に押し出して塾経営を始めましたが、生徒が全然集まらないので(当時の生徒在籍数は23名ほど)、私のところに相談に来ました。

話を聞くと、彼の教育に対する思いは非常に強いのですが、コース設計にも生かされず、またそういう思いをただただ生徒には話し、保護者には文章で書くだけで、顧客に上手く表現できないでいました。

そこで、私が言ったのは、以下のことです。その思いをどういう風に表現すればよいのか、その思いをどう具体的にするのかを徹底的考えること。そして、それをコース設計という形にして、生徒がある程度集まった時点でその思いの何を商品にするかを考えること。そんなことを話しました。

そうです。思いだけでは、学習塾経営はできないのです。その思いを具体的に表現しなければ、マーケットに伝わらないのです。まず、そのことを忘れないで欲しいと思います。ちなみに、この若手経営者はその後もう1校舎創り、現在2校舎を経営し生徒の在籍数は250名を超え、年商は12,000万円にまでなっています。

2.ビジネスを切り捨てない(教育を切り捨てない)

学習塾を経営しようと思っている人ですから、教務に命を懸けよう!なんて考えて、ビジネスを軽く考えるような人がたまにいますが、それは、大きな間違いです。

経営は、ボランティアではないから、どこまでのサービス(=指導)に料金が発生して、どこからが無料の付加価値の部分なのか、しっかり区別をすることが大切です。そうしないと、生徒や保護者の犠牲になってしまって、結局は、学習塾経営が長く続かなくなってしまいます。

先の若手経営者もそういう点がありました。彼の例で言えば、各期の季節講習ですが、全く設計上にはありませんでした。各期講習を全く売ろうともしていなかったのです。しかし、そうすると、彼の塾に通ってくる生徒にとっては、休み中の勉強量が極端に減ってしまうことになり、結局は、不利益は生徒に及ぶのです。学力がつかないからです。

しかし彼は、休み中は生徒のやりたいことをやれば良いのだと思っていました。夏休みや冬休みに講習を行い、授業料を取るなんて出来ない!と信じていたのです。

それは、ビジネスを切り捨てて、教育まで切り捨ててしまう結果になってしまうのです。講習料が売り上げに計上できない。そして、生徒の学力も伸びない。そういう結果になるのです。学習塾経営は、ビジネスと教育、この両方をしっかり考えていくことなのです。

3.保護者を無視しない/4.近隣を無視しない

保護者を無視しないというのは、生徒だけ指導していれば良いのだ、という意識を捨てることです。生徒が直接顧客、保護者が間接顧客なのです。両方の顧客に関心を示すことが学習塾経営では重要なことなのです。

保護者には、DTS(デイリー・テレフォン・サービス:定期的な電話がけ)が重要な行動です。定期的に保護者と直接コミュニケーションを取って、保護者に関心を示すこと、ここがポイントなのです。

次に近隣を無視しないというのは、教室の近所の方々と情報交換をし、極力自分の塾のファンになってもらうことです。そうすれば、近隣を協力者に出来るわけです。そうなれば、非常に強い塾になるはずです。地域の皆が応援してくれるのですから。

5.学ばない

ここで言う「学ばない」というのは、2つの意味があります。1つは、自塾のあるマーケットの競合塾の研究をしないということ。もう1つは、業界のことや教育のこと、経営のことについて学ばないということ。この2つの意味です。

情報を収集し、塾業界内の成功事例をどんどん吸収し、自塾に生かすことが重要なことです。どんどん学んで、自塾をどんどん成長させる。それが、学習塾経営の鉄則です。

そうしなければ、学習塾という仕事の本質を理解できません。仕事の本質を理解できなれば、その行動は、非常に危ういものになり、大切な状況で判断がぶれたり、間違ってしまったりすることになります。ぜひ、学びを通じて、自分の仕事の本質を掴んでください。

読者の皆さん、この5つのポイントを肝に銘じて、学習塾経営をしていただければと思います。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

教育機関NO.1クラスのコンサルタント。学習塾における運営コンサルティングの依頼は、規模も、指導方法もニーズも様々であるが、的確な判断力と、データ分析力で今までに携わった学習塾は全国津々浦々80塾以上。 在籍数減少など苦境に陥った多くの学習塾の再建を成功させた手腕と、歯に衣を着せぬ人間的な魅力で、全国の教室オーナーからの信頼は厚い。また、私立学校のコンサルティングや全国各地の教育委員会での講演や管理者対象研修などの依頼も多く、日々、全国を飛び回っている。