合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表中土井 鉄信
2016-03-14 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

塾経営の年収を変える!?授業料設定でおさえておきたい計算方法と授業回数への意識

 このコラムのポイント

学習塾オーナーの収入源とは生徒の月謝、授業料です。 授業料の設定方法としては、講師に払う人件費や生徒1人あたりの負担額を加味する必要があります。そこで授業料を決めていくのですが、月の授業回数をどうするかでオーナーの収入にも関わってくるのです。 ここではそんな「授業料設定」のポイントについて解説します。

フランチャイズWEBリポート編集部


学習塾経営における「授業料設定」の仕方とは?

前回は、授業料における相場観でしたが、今回は更に細かく掘り下げ、授業料の設定についてお伝えしたいと思います。

講師人件費から割り出す

まず、授業料の設定は講師人件費から設定していきます。

たとえば、講師時給が1,200円であれば、この時給が、売上げに対して何%の経費比率でよいのかを考えて作ります。個別指導塾における講師人件費比率は、30%が最大ですから、この数値を利用して計算をすると以下のようになります。

講師人件費比率を30%に設定の場合の1時間あたりの売上げ
1,200円÷30%=4,000円

これが1コマ1時間あたりの売上げです。この4,000円を一人の講師が売り上げてくれれば、その講師の人件費比率は、30%になります。90分であれば、4,000円×1.5=6,000円

逆に50分ですと、4,000円×50/60=3,333円となります。

生徒1人あたりの負担を考える

次に生徒1人の負担額を考えます。

先生1人が何人の生徒を指導するかで、生徒1人当たりの負担額が決定されます。

たとえば、1コマ90分として、生徒2人であれば、6,000円÷2人=3,000になります(実際の設計の際は、2人では割りませんが、今はそうしておきます)。

60分では、2,000円。50分であれば、1,667円ということになります。
この1コマあたりの負担額に月の授業回数をかけたものが月謝です。

人件費率をおさえれば授業料も下がる実例

下の表は、時給を1,200円に固定し、人件費率を細かく変え、指導人数も変えた時の一人あたりの授業料単価(60分)を表したものです。

※指導生徒数が2人以上の場合は、組み率が完全にならない場合もあるので、組み率を90%前後で本来は計算します。下の表は、便宜上90%で計算を行っています。

生徒数\人件費率 人件費率
15%
人件費率
20%
人件費率
25%
人件費率
30%
人件費率
35%
1人 8,000 6,000円 4,800 4,000 3,429
2人(1.8人) 4,444円 3,333 2,667 2,222 1,905
3人(2.7人) 2,963 2,222 1,778 1,481円 1,270円
4人(3.6人) 2,222円 1,667 1,333円 1,111 953

この表から分かるように、人件費率を上げ利益率を抑え、指導人数を増やすと授業料もどんどん下がっていきます。

月の授業回数で年間の売上に差が出ることを意識すること

最後に、月の授業回数(週)を設定します。これは、年間の授業回数(週)から考えるのが筋です。通常の授業と季節講習の授業が行われるのが学習塾ですから、年間の授業回数(週)から考えます。

従来の個別指導では、季節講習という考え方が乏しかった為、年間授業回数(週)が48回(週)になっていました。年間の授業回数(週)が48回(週)であれば、毎月4回(週)の授業をすることになります。授業料も1回当たりの料金に月の授業数をかけたものになります。

1回の授業料×月の授業回数=授業料

月の授業回数(週)は、4回(週)のところが多いようですが、私どもマネジメント・ブレイン・アソシエイツでは、授業回数(週)を年間42回(週)という授業設計を考案しています。

月に直せば、授業回数(週)は、月平均3.5回(週)で通常授業を行います。授業回数は、納得性があれば、4回(週)でなくても良いのです。ぜひ、色々と考えてください。

ちなみに、月4回と月平均3.5回は、小さな差ですが、実は、非常に大きな差を生みます。年間の売上が大幅に変わってきます。

次回は、連載の最終回として、この小さな差が大きな差になることを説明します。経営は、小さな差から大きな結果が生まれるものです。こういう差の意味を知れば、塾経営も実に面白いものです。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

教育機関NO.1クラスのコンサルタント。学習塾における運営コンサルティングの依頼は、規模も、指導方法もニーズも様々であるが、的確な判断力と、データ分析力で今までに携わった学習塾は全国津々浦々80塾以上。 在籍数減少など苦境に陥った多くの学習塾の再建を成功させた手腕と、歯に衣を着せぬ人間的な魅力で、全国の教室オーナーからの信頼は厚い。また、私立学校のコンサルティングや全国各地の教育委員会での講演や管理者対象研修などの依頼も多く、日々、全国を飛び回っている。