株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-03-05 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

善い方へ善い方へ!「誉める」でアガる!目標達成に向けて、部下を『ベタ誉め』しよう

 このコラムのポイント

会社の上司だって、お母さんだって、自分の部下や子供が「今より悪くなれば」なんて思って、怒ったり小言を言ったりはしません。本当は「大きな成果を上げたい」「こうすればもっと良くなるのに」と思って、言えば角が立つことを、わざわざ口に出して言うのです。今回のコラムでは、そうした上下関係でよく起こりがちな苦悩を、『誉める』という手法で関係を好転させる方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


「やったあ~!目標達成しました~!」
「よっしゃああああ~!よくやった!おめでとう!!君は最高だ!!」

部下が、なかなか上手くいかなかった事やぜんぜん達成できなかった目標に、努力に努力を重ね苦労をしてやっと到達できた時に、あなたはどれくらい誉めていますか?

私は「ベタ誉め」するのが基本だと思っています!

ただシンプルに「いいね」と誉めるのでは無く『ベタ誉め』するのです!
しかし現実には、この『ベタ誉め』をやれている上司が非常に少ないのです! 

優秀・劣等の違い 〜誉める量との相関関係〜

私は、過去、2000人以上の店長やその上司、そしてリーダー達を見てきました。

その中で、部下がのびのびと育ち、次々と目標を達成している上司の多くは、部下の目標達成に際して、思いっきり誉めています。ベタ誉めしているのです。

逆に、なかなか育たず、目標未達のケースが多い部下を持つ上司の多くは、部下を誉めているシーンをほとんど見る事がありません。

・誉め上手な上司の部下は、たまたま優秀なのでしょうか?
・優秀だから、目標を達成し、達成するから上司から誉められるのでしょうか?
・誉め下手な上司の部下は、たまたま劣等生なのでしょうか?
・劣等だから、目標は未達となり、上司から誉められる機会が無いのでしょうか?

私は「違う」と思っています。

誉め上手な上司の部下は、成果が上がる前から、たくさん誉められています。

成果が出ていなくても、チャレンジ段階で誉められます。チャレンジする前でも、やるぞ!という表情をしたくらいでも誉めてくれるのです。

反面、誉め下手の上司の部下は、成果が上がってもあまり誉められることが無いのです。

上司の仕事は、部下をやる気にさせること

さらに言うと、誉め上手な上司は、目標を達成した部下を誉めるとき『ベタ誉め』するのです。

「おおお~やったね~さすがだね!すごいね!すばらしい!すてきだ!最高!」

こんな風にベタ誉めされると、部下の中には、あまり嬉しそうにせずに、硬い表情で謙遜したり、伏せ眼がちに恥ずかしそうにしたりする部下がいます。

でも、実はそういう部下も心の中ではムチャクチャ喜んでいるのです。

もう飛び上がらんばかりに喜んでいるのです。

上司や店長の仕事は、部下に目標を達成させて会社の業績を高めることです。

そのためには、部下が「やる気」になって頑張ってくれないと目標は達成しません。言い換えれば、上司の仕事は、部下を「やる気」にさせることなのです。

そもそも「やる気になる」とは?

『やる気になる』とは、どういうことでしょうか?

『やる気になる』とは「やれる!」と自信を持つことです。「やれた!」は「やれる!」の結果なのです。「やれた!」のならば、それを『ベタ誉め』して、大いに認めるのです。

だから『自信』がつくのです。

すると「よ~し!もっとやるぞ!」と意欲が高まるのです。

これが『やる気になる』です。

 

プレッシャーでは、やる気を引き出せない

ところが、馬鹿な上司や店長は、ただ単に「やる気」を求めます。

「やる気が無いのか?」
「やる気を出せ!」 

こんな言葉で「やる気」が出るのならば、誰でも上司なんてできますよね。
また「恐怖」や「プレッシャー」で、無理矢理その「やる気」を引き出そうとします。

「これをやらないと、君は大変なことになるぞ」
「彼ができているのに、なぜ君はできないんだ」
「やらねばならないことを、やらないと… どうなるかわかっているだろうな」 

単に言葉で「やる気」を求められても、恐怖で無理矢理に「やる気」を引き出されても、そこで出てくるような「やる気」は、結局は長続きしない「やる気」です。

やる気を持続させる『ベタ誉め』の使い方

私たちが関わる『店舗ビジネス』は、長く愛されるお店を作ることが大切なのです。

そのための「やる気」は、一時的なものであってはなりません。恐怖による「やる気」は、あくまでも一時的なものに過ぎません。

繰り返しますが、そんな方法で引き出した「やる気」は、長続きはしないのです。

ただ、ついつい部下を追い込んで無理矢理に成果を出させる時もありますよね。

もしも、そんな風に、部下を「追い込み」「火事場の馬鹿力」を発揮させて目標を達成させたときは、上司はいっしょに泣いて喜んであげましょう

つまり『ベタ誉め』をするのです。

そうすることにより、部下は、次の目標に向かって再度エネルギーがチャージできるのです。だから、『やる気』が継続するのです。

でも、これはあくまでも「追い込みをやっちゃったとき」だけにしましょう。いつもいつもやってしまうと、部下はストレスでつぶれちゃいますからね。

達成感を、繰り返し体験させることが重要!

さて、まとめましょう。 

部下が、たとえ小さくても目標を達成したら『ベタ誉め』して泣いて喜ぶ!
そうして、部下に「自信」をつけさせ「やる気」を高める!

実は、これを理解している上司は、必ず「ほんの少しがんばれば確実に目標達成できる目標」を設定させるように部下に指導します。

そして、それを繰り返しながら、気がついたら大きな目標を達成できるようにしているのです。

それが「やる気の継続」です。

やる気満々になっている部下の上司は、そこが違うのです。

ベタ誉め ……さあ、やってみましょう!

 

次回は「できなかったことではなく『できたこと』にフォーカスしよう」というテーマでお話しします。ふたたび『誉める』がテーマですよ。お楽しみに! 

 

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。