2015-02-17 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役
浅野 忍土 |
企業が事業多角化をするときに押さえたいポイント
このコラムのポイント
自社で新規事業を構築するよりも早期にリスクが低く立ち上げられる、これが企業としてフランチャイズに加盟するメリットとも言えるでしょう。このコラムでは、フランチャイズで事業多角化するときに気をつけることは?、せっかくフランチャイズに加盟するならどのような新規事業をフランチャイズで構築したらいいのか?などの気になるポイントに答えています。
フランチャイズWEBリポート編集部
1.事業を多角化するメリット
企業がフランチャイズを活用した事業多角化を行う上で、押さえておきたいポイントに関して、解説します。先ずはじめに、一般的な企業としての多角化の方向性について、整理します。
企業としての多角化において、重要なポイントは既存事業や自社が保有する経営資源との関連性です。
もう少し深堀して解説しますと、3つの方向性が見えてきます。
2.自社が属する同一市場で新たな商品、サービスを投下するのか?
3.商品、サービスも、市場も、これまでと全く異なる分野に参入するのか?
この3つが多角化の視点であり、1と2は既存事業体に関連性のある多角化であり、3は既存事業体に関連性のない多角化となります。
フランチャイズを活用した多角化の場合、特に3の多角化において、特に有効と判断できます。なぜならば、全く異なる分野に進出する際に、既にある程度構築されたノウハウを用いて、事業展開することで成功確率を高めることが可能となるからです。
しかし、実際には2の場合でも、フランチャイズが有効なケースが存在します。 例えば、外食企業を例にとってお話ししますと、これまで直営主体で事業展開してきたが、成長が鈍化し始めたタイミングで、フランチャイズの外食業態に参加し、商品開発や人材育成、店舗オペレーションなど、自社とは異なるノウハウを得ることで、それを既存の直営部門に活用することで、さらなる成長を実現した等の事例もあります。
故に、多角化を図る際には、多角化の方向性と共に「その多角化を通じて、どんな目的を達成すべきか?」を十分に考えることをお勧めします。
2.フランチャイズを活用して事業多角化するメリット
前文では、事業多角化を行うそもそものメリットについて解説しましたが、ここでは“フランチャイズによる多角化のメリット”について触れていきます。
・本部によって既に研究、実験されたノウハウを活用し、成功確率を高めることが可能となる。
・その事業の成功要因、必要能力が明確であるため、自社にマッチした事業分野かを判断しやすい。
→故に、必要な経営資源を特定でき、自社がその資源を保有しているのか?を判断しやすい
・さらには経営の一部(商品開発などの研究開発、人材育成、店舗指導等のマネジメントなど)を本部にアウトソーシングし、自社がやるべきことに特化できる。
・結果として、スピーディーな経営を実現出来る可能性が高い。
など、フランチャイズを活用した際の経営上のメリットを上げることができます。 同時に、この視点はフランチャイズの選定において、大変重要な視点であるとも言えます。
もう少し解説しますと
・本部が保有するノウハウは十分に研究、実験がなされ、整理されているのか?
・その事業の成功要因、必要能力が明確であるのか?
・自社に合致した事業分野と判断出来るのか?
・必要な経営資源を特定でき、自社がその資源を保有しているのか?
・フランチャイズ本部は経営のアウトソーシング先として、十分なのか?
と理解することができ、これら視点を活用して、フランチャイズを選定することで、成功確率を高めることが可能となります。
3.フランチャイズを活用した事業多角化で気をつけるべきポイント
フランチャイズを活用した多角化で、気をつけるべきことも記載いたします。
2.フランチャイズが故に、制限や制約があることを理解すること。
3.フランチャイズは結婚と似ており、パートナー選定をしっかりと行うこと。
これらは最低限、十分に考察すべきです。
フランチャイズは、本部と自社の価値観を照らし合わせ、長期的にパートナーシップを築ける相手かどうかをしっかりと選定しましょう。そして、フランチャイズはノウハウを得るが故に、様々な制限が存在します。
故に、長期的な経営戦略を考えた場合に、その制限、制約が自社の成長を阻害しないかどうかも、十分考察の上、フランチャイズを用いた多角化を検討されることをお勧めします。