ATカンパニー株式会社 代表取締役浅野 忍土
2015-03-31 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

新規事業を開始するときに考えたい人材のこと

 このコラムのポイント

企業が新規事業立ち上げを考えるときに、フランチャイズという選択をするのもひとつです。ここでは新規事業立ち上げにあたって考えたい人材配置、後継者選定のポイントなどを解説しています。

フランチャイズWEBリポート編集部


新規事業に割く人材は、社内の人材を活用することが吉

今回は新規事業を立ち上げる際に、重要な要素である人材に関して、解説したいと思います。
また人材配置などにおける注意点等もお伝えしたいと思います。

まず人材の配置を考える上で重要なことは、新規の採用人材を配置するのではなく、可能な限り社内の人材を配置転換する形がお勧めです。

なぜならば、新規事業立ち上げは当然にして、既存事業の展開よりも、事業リスクは高く、担当者と経営者とのコミュニケーションは重要と言わざるをえません。故に人間関係が構築され、スムーズなコミュニケーションが行える間柄の人材を配置することはより成功確率を高めることに繋がると言えます。

さらに新規事業立ち上げは当然、その立ち上げに相当な労力を割かなければ成功しません。
中小企業の場合には当然社長が事業責任者となり、その事業に携わり、事業の細部を理解することが重要です。

同時に後継となる事業責任者候補を社内から抜擢し、その人材と共に事業の立ち上げに臨むことが好ましい新規事業の立ち上げ方法と言えます。

フランチャイズビジネスは直営や他のFC加盟店の成功事例を共有してくれるため、比較的成功確率を高めながら、事業立ち上げを行うことが出来ます。
更にその成功確率を高める為にも、社長の関与、そして社内人材の抜擢を行うことをお勧めしたいと思います。

後継に据えたい事業責任者候補の特徴4つ

次に、どんな人物を後継となる事業責任者と据えるべきかに関しても、少し解説致します。
絶対ではありませんが、下記4点は検討すべき視点だと思います。

  • 展開する事業に求められる能力を保有している人材。(必要能力)
  • 展開する事業に対して、情熱を持っている人材。(事業への情熱)
  • 社長とのコミュニケーションがスムーズに出来る人材。(コミュニケーション)
  • 起業家精神を持った人材。(起業家精神)

例えば外食事業の場合、ホスピタリティーある接客や徹底した数値分析といった能力は絶対的に必要です。

しかし、事業責任者がホスピタリティーに欠けていたり、数字に疎ければ、当然事業の成功確率は大きく下がります。事業ごとに必要かつ重要な能力は異なりますので、事業ごとに必要な能力を見極め、その能力を兼ね備えた人材を配置しなければなりません。

事業成功の必要条件は、情熱と起業家精神

どんな事業でも、事業立ち上げには問題はつきものです。

問題を解決するにはやはり情熱が必要です。最後の最後、事業を成功に導くには情熱が必要条件とも言えます。最初は能力が低くとも、事業成功に対する情熱があることで、短期間で大きく成長した人材を私はコンサルタントとして数多く見てきました。情熱とは新規事業立ち上げにおいて、必要な要素と言えます。

さらに先にも解説しましたが、社長としっかりとコミュニケーションが出来る人材でなければ、スピーディーな経営は実現出来ません。

経営者自身が注意深く観察し、察知することも必要ですが、やはり現場により近い担当が適切な情報を経営者に共有することが必要であります。その意味でも、コミュニケーションは大切な要素と言えます。

そして、最後に事業の立ち上げには多くの困難が伴います。その際には、情熱と共に、やはり起業家精神あふれる担当者であれば、その困難に打ち勝ち事業を成功へと導いてくれるでしょう。

全てを兼ね備えた人材は簡単には見つかりません。しかし、これら条件に合致する人材がいるならば、当然にして、投与すべきでしょう。
是非、総合的に判断し、適切な配置により、新規事業を成功させて頂きたいと思います。

ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

経営コンサルティング会社でフランチャイズ開発に携わり実績を上げた後、2009年ATカンパニー設立。各企業の経営戦略に沿って有望な新規事業を提案。小規模デイサービス事業、乳幼児教育事業など幅広い業種のフランチャイズ企業を支援。支援チェーンの一つ、乳幼児教室「TOE Baby Park」は3年半で、200加盟達成。2009年10~2014年9月までに延べ272件、月平均約5.4件ベースで加盟開発を実現する等、短期間での多店舗チェーン作りを得意とする。