合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表中土井 鉄信
2015-11-30 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

学習塾オーナーとスタッフなら知っておきたい!保護者との関係づくりのコツ

 このコラムのポイント

学習塾で仕事をしている経営者、スタッフの方が知りたい「保護者との信頼関係を作る」ためのコツを解説しています。塾経営を成功させるには、クライアントである保護者との関係づくりはかかせないのでぜひ教育業界の方はポイントをおさえておきましょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


学習塾オーナーとスタッフの仕事は、信頼関係を結ぶこと!

今回は、生徒の奥にいる保護者とどのようにかかわっていくかを、お伝えしたいと思います。前回もお伝えしたように、学習塾の仕事は、コミュニケーションですが、それは、生徒だけではなく、その生徒の奥にいる保護者とのコミュニケーションも含まれています。

そして、そのコミュニケーションの目的は、保護者と信頼関係を結ぶことにあります。
保護者と信頼関係を結ぶためには、以下のことを念頭においた対応をする必要があります。

1.相手の存在を承認すること
2.相手の価値観を知ること
3.相手のニーズを受け止めること
4.相手のニーズをより良い方向へ転換すること
5.相手の抱えている問題を解決すること
6.相手の知らない情報を提供すること
7.相手の自分に対する期待を知ること

保護者と信頼関係を結ぶためのポイント7つ

1.相手の存在を承認すること

簡単に言ってしまえば、相手を毛嫌いせず、相手の存在をしっかり受け止めようということです。まずは、子どもや保護者の存在を承認し、肯定的な気持ちで向き合うことです。

2.相手の価値観を知ること

これは、対人関係上、重要なことです。相手と信頼関係を構築したければ、相手の価値観(何を大切にしているのか、何が好きなのかという感情)をまず知ろうと努めることです。

相手は、自分の価値観を知ろうとしてくれている相手に、心を解放しようとするはずです。そして、自分を理解しようとしてくれる相手を信頼しようとするのです。自分が相手に受容されていると感じれば感じるだけ、相手のことを信頼するようになります。

3.相手のニーズを受け止めること

相手の要求をしっかり知るということです。まず、相手の求めていることを素直に受け入れることです。相手が何を求めているのか、どんなことをしてほしいと思っているのか、そして、そのゴールはなんなのか、こういうことをまず徹底的に聞くことです。

4.相手のニーズをより良い方向へ転換すること

この考えが一番難しいかもしれません。相手のニーズを受け止め、そのニーズの真意を汲んで、最適な方法で、ニーズを実現するということです。直接的なニーズへの対応ではなく、ニーズの真意を汲み取って、結果的にニーズの真意にあったものを提案していくという対応です。

例えば、子どもが算数嫌いで、尚且つできないので、算数をできるようにさせたいという要望があり、算数の文章題を一生懸命にやってほしいと保護者が思っていたとします。そういう時に、どういう対応をするかと言うことです。そういう保護者のニーズをただ鵜呑みにしてしまって、子どもの嫌いな算数を、それも文章題ばかりを補習していたら、どうなるでしょう。

多分、逆効果になってしまうかもしれません。そういう時に、どういう対応を取るのかということです。「好きな科目とバランスをとりながら算数の補習をしていきます。難しい問題というよりも、まずは分かったという実感が持てるような易しい問題を扱って、自信がつくように教えていきます。算数に自信がついてきたら、文章題に取り組ませていきましょう。」というように、保護者に対して提案していくということです。

5.相手の抱えている問題を解決すること

これは、スキルと知識と経験に関係することです。相手は、自分の問題を解決できそうな人間を信頼します。「この人に任せておけば、大丈夫だ」と思わせればよいのです。そのために、問題の核心をしっかり知ることです。

その問題は、誰の問題なのか(親の問題なのか、子どもの問題なのか、学校の問題なのか、等々)、問題の原因はどこで、その問題がどういう事態を生んでいるのか、しっかり把握することです。そして、問題の解決策を提案し、実行計画を共に考えるようにすることです。

6.相手の知らない情報を提供すること

これは、学校情報や教育情報、子育てに関する知見、そして、保護者の知らない子どもの様子にかかわることです。相手は、自分以上にいろいろなことを知っている人間を信頼するものです。

ビジネスの世界では、情報量の多さが上下関係を決めるとも言われています。様々な情報を持っていることは、信頼関係を構築する時にも有効なことです。特に、教育現場での対応で重要なのは、親の知らない子どもの側面を塾がどのくらい知っているかということです。「この先生は、親である私以上に、私の子どものことをよく知っている」ということになれば、信頼感は、保護者の中で増すはずです。

7.相手の自分に対する期待を知ること

相手が自分に何を期待しているのか、そのことを真剣に把握することです。保護者やその子どもは、自分に何を期待しているのだろうか。このことを把握するかしないかでは、評価に対して大きな違いが生まれます。自分の役割をしっかり把握することは非常に重要なことなのです。自分に対する期待をしっかり知ってください。

以上7点について簡単にお伝えしましたが、保護者との信頼構築に向けて、意識的に行動をしていくことが、学習塾経営の成功の大きな要素です。ぜひ、「生徒や保護者と信頼関係を構築するぞ!」というスタンスでコミュニケーションを取るようにしてください。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表 中土井 鉄信

教育機関NO.1クラスのコンサルタント。学習塾における運営コンサルティングの依頼は、規模も、指導方法もニーズも様々であるが、的確な判断力と、データ分析力で今までに携わった学習塾は全国津々浦々80塾以上。 在籍数減少など苦境に陥った多くの学習塾の再建を成功させた手腕と、歯に衣を着せぬ人間的な魅力で、全国の教室オーナーからの信頼は厚い。また、私立学校のコンサルティングや全国各地の教育委員会での講演や管理者対象研修などの依頼も多く、日々、全国を飛び回っている。