コンビニ研究家田矢 信二
2015-12-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
コンビニ研究家 田矢 信二

コンビニのプロが語る!商売の基本4原則とは?

 このコラムのポイント

コンビニ経営に携わるなら知っておきたい四原則。店舗を支えるためには、1つも欠かすことはできない大切な要素です。商売の原理原則(当たり前)を完璧にすることで、自店のレベルをアップさせましょう!

フランチャイズWEBリポート編集部


コンビニの店舗力を支える「基本四原則」とは?

「基本四原則」とは、商売の基本であり、コンビニの店舗力を支えるものです。ですが、日々の現場業務に流されると基本を忘れることがあります。そうならないためにも、加盟店経営者・店長の皆様は、習慣化するように心がけてほしいと思いご紹介しておきます。

基本四原則とは
1.フレンドリーサービス(QSCでは、Sのサービス)
2.クリンリネス(QSCでは、Cのクリンリネス)
3.品質(QSCでは、クオリティ)
4.品揃え(小売業では、重要な基本項目)

毎日の商売で、基本四原則を徹底し、お客さまに選ばれる店にすること。その先には、地域一番化の目指すべきゴールがあります。お客さまの行動の変化を掴むには、基本四原則を徹底し、普段忘れてしまいがちな「基本四原則」を徹底し、お客さまの期待感を高めるべきです。

逆に、それができないお店は、競合他店や他業態に、お客さまを奪われてしまうと危機感を持つべきです。

人手不足・採用難については、プラスの発想でチャンスとして捉え、新しいお客さまを獲得する気持ちで、パート・アルバイトさん達を戦力化することで、商売に専念する必要があります。

「基本四原則の徹底」で選ばれる店舗にレベルアップ!

フレンドリーサービスこそ、“地域密着商売の第一歩”

常によい状態を維持できない店舗に顧客として来店した場合に感じることがあります。あなたのお店では、キャンペーン中に徹底できていた接客が、キャンペーンが終わった途端にセールストークが聞こえなくなり静かな店になっていないでしょうか。

フレンドリーサービスという業界用語がありますが、自宅に友人を招くときに家族のように接する心持ちでお客様に接することを意味します。これを徹底することが、地域密着型のお店として愛されるための一歩なのです。

常に、感じの良いセールストークや接客を実践している店は、消費の変化の影響を受けることなく、高い顧客満足度を提供し続けることができます。

とくに、利用する機会が増えている女性客やシニア客に対する接客ができているかが今後の商売の重要なキーパーソンになってきます。

クリンリネスこそ、“店舗の底力を表す鏡です”

「クリンリネス」は、売上に直結しないイメージが強いですが、実は、作業の効率を向上させる習慣をつけるのに、最も適した作業です。

だからこそ、新人スタッフだけに偏った作業スケジュールになっていないかをもう一度見直すべきです。むしろ、効率的な作業を復習する意味で、先輩スタッフこそ取り組むべきと言えます。

売場の環境も変化しています。ゴンドラが高くなったり、コンビニ・コーヒーが導入されたり、オリジナル冷凍食品などの新設什器が入ったりしています。こうした新しい部分についても、クリンリネスを徹底することが大切です。

お店を診る時には、クリンリネスが徹底できているかどうかが、お店の本当のチカラを表す指標になってきます。

品質こそ、今の時代に求められる“安心・安全の価値観”

商品の品質については、深夜帯の鮮度チェックが疎かになりがちであることに注意してみてください。責任者が不在で、担当者任せになりやすいからです。

深夜スタッフには、改めて鮮度管理の重要性を教育し、アイドル・タイムなどに売場のチェックを行う体制を組み直すべきです。

チルド弁当や惣菜、冷凍食品など、商品の販売期限は伸びる傾向にあります。もう一度、販売期限のルールを頭に入れておくことも重要です。

品揃えこそ、均一化の先にある独自性の強さのバラメーター

最後の「品揃え」は、スタッフ全員の共通認識が薄く、売場にバラツキが出やすい点が問題です。それを改善するためには、売場チェックをスタッフ自身が自ら考え行動する体制が必要。すべてのスタッフが、QSCのチェック項目を理解している店舗のレベルは確実に高くなります。

時代の流れによる客層の変化に伴って、コンビニの品揃えの幅は広がりつつあります。売れ筋中心の品揃えを行うことは本部施策として当然ですが、生活需要的な商品について、選択肢の幅を効果的に広げることも必要になっています。

店舗力を支えるために「基本四原則」の習慣化を行いましょう

加盟店経営者が最も悩むのは、「スタッフ育成」と「店内体制作り」です。ですが、徹底できていない店は、いつまでもこの悩みから解放されません。新しい変化にも日々兆戦しながら対応しつつ、毎日の基本をマンネリ化せず、普段忙しく疎かになりがちな基本四原則の徹底を忘れないためにも、習慣化することが店舗力を支えます。

本日復習しておきたい「5つのポイント」 

1.小商圏化が進む中で、フレンドリー接客が顧客満足の第一条件。接客を通じ働く喜びを従業員に意識させる。
2.クレンリネスは作業効率アップの基本。売場の環境変化にも意識し、先輩スタッフを含めて徹底する。
3.品質はお客様の信頼の証。販売期限の変化に注意し、深夜帯の商品チェックを徹底する。
4.品揃えは、欲しい商品を欲しいだけ買える売場の提供が基本。選択肢の広がった品揃えにもトレンドを意識する。
5.基本四原則の全てを高いレベルに維持することが、自店のストアロイヤリティ(信頼関係)を高めることを、商売の基本と心がける。全員でのQSCチェックは、通常業務に組み込む。

コンビニ研究家 田矢 信二

大阪府生まれ。幼少より実家のおもちゃ屋を手伝いながら商売を学ぶ。CVSチェーン本部で業界1位セブンイレブンと業界2位ローソンにおいて、現場経験を積んだ後にコンサルタント会社も経験。コンビニ研究家として、店舗ビジネス業界へ「人」に関連する育成テーマにて講演・研修には定評がある。コンビニをテーマにテレビ・ラジオにも出演。著書に「セブン―イレブン流 98%のアルバイトが「商売人」に変わるノート」(TWJ BUSINESS)がある。