株式会社エムズ 代表取締役的羽 一郎
2016-06-07 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社エムズ 代表取締役 的羽 一郎

兵庫県の超一等地での起業とフランチャイズ活用のメリット

 このコラムのポイント

兵庫県の超一等地といえば、交通の要所であり観光街、ショッピング街でもある三宮界隈がまず挙げられます。集客を考えれば一等地に出店することはマストですが、そのメリット・デメリットとは何か。 このコラムで解説します。

フランチャイズWEBリポート編集部


事業を始めるにあたって場所をどこにするかということは、非常に大きな問題です。

とりわけ、飲食業、物販業、サービス業など不特定多数を相手にする業種では立地の良し悪しは事業の成否に直結します。できることなら、人が多く集まる一等地で行いたいと思われる方も多いのではないでしょうか?

一等地で商売を行いたいと思われる方のため、今回のコラムでは「立地」について解説します。

兵庫県における超一等地の現状。カギは三宮界隈

兵庫県の超一等地といえば、JR、阪急電車、阪神電車などが集まる三宮界隈です。
神戸市役所や世界的に有名なブランドショップが立ち並ぶ旧居留地、ホテルや百貨店、地下街や商店街などもあり、まさに文化、経済の一大集積地です。

集まってくる人も実に多様です。平日は、ビジネスマンはもちろんのこと、買い物客や観光客の姿も多くみられます。最近、何かと話題の爆買いの中国人観光客の団体も見られます。土日は、ビジネスマンの姿は減るものの、家族連れやカップルで賑わっています。

ビジネス街は、土日の集客が減り、大学周辺は、春休みなどの長期休暇は学生の姿がめっきり減ります。その点、超一等地は、一年中しかも早朝から深夜まで客足が途絶えることはないのです。

超一等地のメリット・デメリット

超一等地のメリットは、何といっても人が集まることです。そのため、人々に認知されやすく、超一等地で成功すればその後の展開が楽になります。

そのため、多くの企業が超一等地の立地を目指しています。そして、そのことが、超一等地のデメリットになっているのです。

競争のため、賃料や保証金が極端に高くなっていることが多いです。コスト高はそれ以外にも多くあります。

建築費が、高くつきます。地下街やテナントビルなどでは、周辺への影響から工事は客足の途絶えた深夜しか認めてないところが多くあります。大工さんの日当も当然深夜手当の影響で高くなります。

工事車両の駐車場も高額になります。これらの事情で、繁華街の工事は、普通の工事の2倍や3倍になることもあるのです。

保証金と建築費の高騰で、初期投資が驚くほど高額になるのです。

コストをおさえても営業効率を下げないように!

コスト増は、開店前だけではありません。賃料以外にも、人手不足の中、パートさんやアルバイトさんを確保するため、時給も高くなります。

店舗の賃料が高いため、できるだけ効率の良い店舗にしようと知恵を絞ります。
1席でも多く席数を確保するため、店長室や着替えをする休憩室などは、近隣のビルに別途用意することも珍しくありません。

それどころか、店舗は販売だけ、製造は近くの場所でというのも多くみられます。新幹線のホームで売っている駅弁などは、その代表例です。

製造と販売を分けるというのは、いいことばかりではありません。
例えば、ビルの1階と2階に分かれて営業している飲食店を考えてみます。
1階に厨房と客席、2階は客席とトイレ。

このような店を普通に営業すると、各階に人を配置したり、下から上へ商品を運んだりと効率の悪い店になってしまいます。そのため、厨房内に商品搬送用のエレベーターを設置したり、2階の様子が分かるようにカメラを設置したりしています。
 
製造と販売を分けた場合、様々な工夫があって初めて成り立つのです。
まして、弁当のように場所が離れている場合、よほどのノウハウの蓄積がないと、うまくいきません。品切れを起こしたり、売れ残ったりということを繰り返すことになるのです。

超一等地の様々な繁盛店(有名チェーン、口コミ店、コスパのいい店など)

超一等地には、数えきれないほどの店があります。平日の昼ともなれば、昼食を求めてビルから吐き出されたサラリーマンで、あっという間にどの店も満席状態になります。

飲食店にとって本当の勝負は、客単価の上がる夜の時間帯です。その夜の営業では、店によってずいぶん差がついています。一見、繁盛しているように見えてあまり儲かってない店も多いのです。

繁盛店と一口に行っても、色々な種類があります。
全国展開している有名店は、一定のファンがいるため、ある程度の安定した集客をしています。接客や職人の味などで口コミで広まった行列のできる店もあります。
 
積極的な販促で集客している店もあります。店頭でティッシュを配っている店は分かりやすいですが、フリーペーパーに割引広告を載せている店も多くあります。

ありえないようなボリュームと価格で集客している店もあります。原価がかかりすぎている分を販促費と割り切っているのです。

一口に繁盛店と言っても、その中身は色々です。

フランチャイズのメリットは超一等地でこそ活きる!

超一等地のような、激戦区こそ、フランチャイズのメリットが活かせます。

まず、めったに出回らない物件情報を持っていること。その立地に適した店舗を作るノウハウがあること。高コスト体質になる繁華街出店を支える優れたオペレーションがあること。競合店が多いエリアで埋もれてしまわないブランド力があること。

それらがすべて備わって、超一等地で成功することができるのです。

株式会社エムズ 代表取締役 的羽 一郎

大手外食産業で17年間勤務。沖縄から仙台まで約280店舗の直営店・フランチャイズ店の新規開業に従事。出店戦略の策定から立地調査、新業態開発、不振店の再生、フランチャイズ・オーナーへの経営指導、社員活性化教育など多くのスキルを身に付ける。 2003年に経営コンサルタントとして独立後は、外食産業やサービス業の経営指導を行う傍ら、商業施設の企画、フランチャイズのパッケージ構築、講演等幅広い分野で活躍している。