株式会社エムズ 代表取締役的羽 一郎
2016-11-15 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社エムズ 代表取締役 的羽 一郎

失敗できない!将来の売上げにつながる「販売促進」を見出す方法

 このコラムのポイント

売上げ不振に、競合に負けるなと値引合戦。度重なる合戦に、精魂尽き果て閉店。止められない負のスパイラル。そうならないために!今回のコラムでは、本当に効果的な販売促進の方法を見出す方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


飲食業で独立して、一番困ることは予想していた売り上げが取れないことでしょう。

売り上げが取れないと、人件費の負担に耐えられず、人を減らします。その結果、サービス力が落ち、更なる客離れを招きます。しばらくすると、ひっそりと閉店しているケースがあります。そんな店を数えきれないほど見てきました。

売り上げが取れないと、店はいろいろな販売促進策を考えます。しかし、販売促進には、業績を改善する販売促進と悪化させる販売促進があるのです。

今回は、販売促進について考えてみます。 

困った時の相談先、その前に…

売上不振でコンサルタントに相談すると、いきなり販売促進を提案されることがあります。無料の情報誌に掲載したり、新聞折り込みをしたり、店頭で割引券を配ったりします。

値引き額が大きいほど、反響は大きく、一時的に売り上げは増えます。しかし、販売促進の効果が薄れると、売り上げは元の水準に戻ってきます。

そこでまた、似たような販売促進策を打つことになります。2度目も、それなりの効果はありますが、しばらくすると、また売り上げは減り始めます。

これを繰り返すうちに、販売促進策の効果が薄れてくるのです。そうすると、より強烈な販売促進が必要になってきます。

果たしてこれでいいのでしょうか? 

まずは、売り上げ不振の原因をさぐる

売り上げ不振の原因はどこにあったのでしょうか?

根本の味に問題があったのか。ボリュームなのか。値段なのか。接客に問題があったのか。こういったことは、店では常に気にしていることですが、もっと細かいところに原因があるのかもしれません。

ピーク時間に料理の提供が遅かったり、盛り付けが雑になっていたり、調理の音がうるさくて落ち着いて食事ができなかったり、食べ終わった食器をかたずけるのが遅く、汚らしく感じたり。

笑顔がいいウエイトレスでも、テーブルを拭くダスターが汚れていたり、靴が汚れているだけで、お客様が減る時代なのです。

そんな些細なことと思われるかもしれませんが、些細なことでお客様が離れていくのが飲食店です。

以前なら、個性的でおいしいラーメン店は、店が汚れていても行列ができる店が多くありました。でも今は、美味しくても、汚い店はお客様を減らしているのです。

お客様の意識は、年々、レベルの高いものを求めているのです。

安易に、競合との消耗戦に踏み込まない

売り上げ不振の原因をそのままにして販売促進策を打つということは、わざわざコストをかけて集客して、自分の店の欠点を宣伝しているようなものです。

しかも、値引きまでして自分の店の体力を奪いながら。 

お客様は、値引きにつられて店に足を運んでくれます。しかし、元々、問題がある店なので、決して満足はしていないのです。それでも、値引きしてもらっているので「安いから、仕方がない」とあきらめているだけなのです。

こんな状態では、売り上げ向上にはつながりません。 

値引き販売をするのは、値引き販売で来店していただいたお客様に喜んでいただき、次からは、普段の値段で来ていただくためです。そのためには、売り上げ不振の原因を解消しておく必要があります。 

販売促進の方法について考える

地道な努力によって、店の欠点が改善されて、いよいよ販売促進の開始です。
その段階で、初めて、どの販売促進が効果的なのか考えるのです。

情報誌に広告を載せる

無料の情報誌に広告を載せる場合、どうしても値引き広告になります。しかも、似たような広告が多く乗っているので、いきおい値引き合戦の様相を呈してきます。これは、薄利多売になり粗利が悪くなるうえ、忙しく人件費がかかるため、次につながる仕組みを考えておかなければ、忙しい思いをした割には、利益貢献が少ない結果になっています。

時間や曜日を限定したサービスを提供する

時間や曜日を指定しての販売促進もあります。お客様の少ない開店直後や遅い時間に限定したサービスもあります。レディス・ディのような特定の日に絞る方法もあります。これらは、いったん定着すると、いちいち告知しなくても効果が認められます。

商品キャンペーンを行う

商品キャンペーンは、有効な販売促進の一つです。新商品は、投入した段階では、お客様は知りません。お客様の側からすると、美味しいかどうかわからず、なかなか手が出ません。そんな時、お試し価格というのは効果を発揮します。

ここでも大事なことは、新商品が十分に完成度が高く、次から定価で買ってもらえることです。商品レベルが低かったら、販売促進の意味はありません。

売上げ不振に悩んだら、まずこのステップ

  1. 売り上げ不振の原因を探ります。そのうえで、地道な努力で問題の改善を一つづつ続け、問題点を解消します。
  2. 目的を明確にして販売促進の種類を考えます。
  3. 自信の持てる新商品ができたら、その時は、満を持して商品キャンペーンを打つのです。

この流れが、最も効果のある販売促進です。

もし、自分たちで問題点を発見できなかったり、新商品を開発できないなら、フランチャイズに加盟するのも一つの選択肢です。

株式会社エムズ 代表取締役 的羽 一郎

大手外食産業で17年間勤務。沖縄から仙台まで約280店舗の直営店・フランチャイズ店の新規開業に従事。出店戦略の策定から立地調査、新業態開発、不振店の再生、フランチャイズ・オーナーへの経営指導、社員活性化教育など多くのスキルを身に付ける。 2003年に経営コンサルタントとして独立後は、外食産業やサービス業の経営指導を行う傍ら、商業施設の企画、フランチャイズのパッケージ構築、講演等幅広い分野で活躍している。