ATカンパニー株式会社 代表取締役浅野 忍土
2015-03-17 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

知っておくと役立つ!保証制度のメリット、デメリット

 このコラムのポイント

フランチャイズの比較検討をしていると目にする機会がある『保証制度』。未経験で独立する方にとっては、リスクを軽減するためのありがたい制度と感じることもあるのでは。今回は保証制度のメリットと一方のデメリットについて触れられています。

フランチャイズWEBリポート編集部


塾、掃除、リペアビジネス等、現在のFCシステムにおいて、よく見られる様になってきた保証制度に関して、解説します。

保証制度でよく見られる内容としては、売上を一定期間保証してくれるものではないでしょうか。一見すると大変魅力的な保証制度ですが、ただ闇雲に保証があるからと加盟すると、結果的に失敗する可能性を高めることになります。

この保証制度の本質を理解して頂くため、保証制度を検討する上での注意点を解説したいと思います。

保証制度とは、リスクを解除し購入を促すマーケティング手法のことである

そもそも保証制度とはリスクリバーサルというマーケティングの一つの手法を指します。リスクリバーサルとは購買における購買者のリスク事項を解除し、購入を促す手法のことです。

有名なところでは、以前にピザの宅配事業で30分以内にお届け出来なければ、返金します。といった謳い文句を覚えていらっしゃるのではないでしょうか?これもまたリスクリバーサルの一つの事例であります。

その他に、最近であれば、フィットネス事業で良く見られる様になった、「痩せなければ、全額返金します」、これもまたリスクリバーサルを用いたものです。
これら全て、購入者の購入時における購入を阻害するリスクを取り除く為の保証制度なのです。この考え方をFCの加盟に応用されていると理解してください。

ですから、事業検討される方々が十分に考えた後、ご自身の一番の不安要素を取り除いてくれる制度として、検討しているFC事業の保証制度が有効と判断される場合には、その制度を上手く活用すべきでしょう。

最後の最後、事業への不安が保証制度によって、解除されるならば、その保証制度は有効に機能すると言えます。

絶対にやってはならないのは、保証制度があるからと事業の選定基準を下げてしまうことです。つまり、保証制度ありきで、事業検討が甘くなってしまっては本末転倒です。

さらに、保証と言っても、その中身を十分に考慮しなければなりません。

弊社がご支援し、二年半で200店舗以上を展開した幼児教室でも、保証制度を活用し、短期間で大変多くの方々にご加盟頂きました。この幼児教室事業の場合には、黒字化まで本部が責任を持って運営し、万が一赤字の場合には本部が補填するシステムを採用しました。

故に、加盟店様は黒字になるまで投資した以上の資金を必要としませんでした。しかし、初期投資以上に追加の投資がいらないモデルであったものの、黒字化までの期間を保証したモデルではありません。黒字化までの期間に関してはモデル通りに立ち上がらないリスクは残っているのです。

大切なのはしっかりとしたノウハウや教育制度がある本部であるかを見極めること

一方、多く見られるFC本部の保証は売上保証のスタイルです。
この場合の多くが、最低限の売上を一定期間保証し、それ以降は自己責任にて経営するというものです。

この場合、初期の売上獲得リスクを軽減してくれているものの、上手く経営できなければ、結果、一定期間後は赤字となる可能性が残ります。

要するにリスクを解除してくれる期間に、加盟店としてその事業をしっかりと見極め、その事業の経営のポイントを理解し、必要スキルを身につけ、本部以上に上手く経営できるように成長しなければその保証は有効に機能しないのです。

その点で私がお勧めするのは、保証に重点を置くのではなく、本部がしっかりとしたノウハウを保有し、しっかりと加盟店に共有する教育制度やノウハウ構築の体制が整っているのかといった本質的に重要なポイントに重きを置くことです。加盟前に十分に調査の上、加盟検討されることをお勧め致します。

保証制度は本質的に事業の成功には関係がありません。一定期間、リスクが軽減されるだけであることを理解し、FCビジネス参加に当たって、より重要なことに集中し、事業選定をされることを願います。

ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

経営コンサルティング会社でフランチャイズ開発に携わり実績を上げた後、2009年ATカンパニー設立。各企業の経営戦略に沿って有望な新規事業を提案。小規模デイサービス事業、乳幼児教育事業など幅広い業種のフランチャイズ企業を支援。支援チェーンの一つ、乳幼児教室「TOE Baby Park」は3年半で、200加盟達成。2009年10~2014年9月までに延べ272件、月平均約5.4件ベースで加盟開発を実現する等、短期間での多店舗チェーン作りを得意とする。