日本の将来を握る!?地域包括ケアシステムはビジネスとしても注目度大

フランチャイズWEBリポート編集部 |2023年07月26日 公開
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少子高齢化社会の日本では、高齢者の増加を受け入れる体制作りが急務となっています。そこで政府は新たに、高齢者が「地元で自分らしく過ごす」未来を実現するとともに、介護保険の財源不足も解決するために「地域包括ケアシステム」を推進すると発表しました。これからの日本にとって地域包括ケアシステムは重要な役割を担うとされています。

そこで今回は、地域包括ケアシステムがどのようなものか、目的や役割だけでなく、ビジネスの側面と併せて解説します。ぜひご一読ください。

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地域包括ケアシステムの概要

まずは地域包括ケアシステムとは何なのかについて解説します。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、人口減少が深刻な社会で介護需要が高まったさいに、医療や介護など専門職に携わる人だけでなく、地域住民の一人ひとりが協力して対応しようとする仕組みのことを指します。

なお、地域包括ケアシステムの起源は1980年代、広島県御調町(現在の尾道市)にあった公立みつぎ総合病院といわれています。包括が名称に入っているとおり、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」の5つを包括的かつ一体的に提供できるような工夫が施されています。地域包括ケアシステムでは、戦後のベビーブームで誕生した団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年を目途に、地域差などを踏まえて各地域に適応したシステムを構築することが主な目標です。

広島の病院が産んだ「地域で支える」という考え方

地域包括ケアシステム誕生のきっかけは、1974年に公立みつぎ総合病院で行なわれた「寝たきりゼロ作戦」だと言われています。当時、高齢者が寝たきりになる要因は、家庭内における介護力の不足、不適切な介護、そして不適切な住環境だと考えられました。

そこで公立みつぎ総合病院は、医療と行政の保健福祉を融合させた「保健福祉センター」を開設。保健福祉総合施設の整備と住民参画の体制を作ることで、寝たきり患者の減少と医療費削減を実現したのです。これが、今日の地域包括ケアシステムに繋がっています。

地域包括ケアシステムの目的と役割

地域包括ケアシステムは少子高齢化社会に対応できるよう、医療と介護のサービスを変えることが目的です。少子高齢化社会では、高齢者や要介護者が増加するのに対して、働き手や介護者が不足し、満足な介護ができないことが背景にあります。とくに、現代では核家族化が進んでおり、高齢の単身者も増加しています。
そのため、施設だけでなく、地域全体で介護をできるようにすることが重要です。

地域包括ケアシステムの主要な要素

地域包括ケアシステムの構成は、先述でご紹介したように5つの要素で構成されています。

住まい

サービス付き高齢者向け住宅だけでなく、自宅を含む生活の基盤になる場所を指します。

医療

かかりつけ医や連携病院以外に、急性期病院、リハビリ施設なども含みます。

介護

サービス付き高齢者向け住宅、訪問介護・看護、デイサービスなどの介護を担う施設を指します。

介護予防・生活支援

自治体、ボランティア、NPO法人、老人会など、高齢者が元気に過ごせるような仕組みを作る団体を指します。

地域包括ケアシステムが求められる背景

地域包括ケアシステムが求められるようになった背景には、さまざまな社会の変化が理由に挙げられます。少子高齢化が進む日本では、今後高齢者の増加と働き手の減少により、介護や医療が受けられない高齢者が増加することが懸念されています。また、地域によって高齢者と若者の割合には格差があることも考えねばなりません。地域によって受けられるサービスや費用も異なります。

さらに、介護や医療に頼る人が増加したことで、介護保険の財源を圧迫していることも地域包括ケアシステムが求められるようになった一因です。地域包括ケアシステムでは医療や介護を地域一体となって取り組むことで、それらの問題を解決できるようになるとされています。

介護・医療への依存&地域格差

地域包括ケアシステムでは、地域で総合的な介護と医療サポート、身体機能の改善ケアを行なうことで、健康寿命の延長を目指します。
先述で介護や医療サービスには地域格差があるとお伝えしましたが、地域包括ケアシステムでは施設同士の連携強化を図り、お互いの介護施設で不足する部分を補い合うことで地域格差を是正することも期待されています。

介護保険の財源不足

地域包括ケアシステムでは複数の事業者が連携をとることで、1施設にかかる負担の軽減につながります。人員不足を補うだけでなく、ひとつの施設ではカバーしきれないサービスを提供できるようになるので、要介護者にとってもメリットが大きくなります。

また、複数の福祉サービスを受けられるようになることで、健康寿命の延長にも効果が期待されており、結果的に介護保険の負担減・不足解消を実現できます

地域包括ケアシステムによって変わる福祉業界

地域包括ケアシステムで注目されている事業について、こちらで簡単にご紹介します。

在宅介護サービス(訪問型・通所型)

在宅介護サービスは名前のとおり、在宅介護を必要とする人が利用するサービスです。訪問介護看護、デイサービス、ショートステイなどが事業として存在し、具体的なサービス内容は入浴介助など生活の基礎となる部分だけでなく、リハビリなどの身体機能の維持と向上を目指すものも含まれています
利用できる施設は要介護者が必要とする介護レベルによって異なり、なかには医師や看護師による医療的処置が受けられるものもあります。

生活支援・介護予防

生活支援や介護予防では、基本的な生活が自立して行なえる人を対象にしているサービスもあるのが特徴です。具体的なサービス内容にはリハビリテーション・配食・見守りなどがあります。民間企業が提供しているサービスも多く、防犯対策などの他のサービスとオプションとして利用できるものもあり、需要が高まっています。
自立して生活できる場合でも、万が一のことを考えて、高齢単身者が増加している現代には需要が高いのでしょう。

一方、需要が落ち着くと見られるサービスも…

地域包括ケアシステムが進むと、老人ホームやグループホームなどの居住系サービスは、需要が落ち着いていくと予測できます。これは、今までは入居しなければ対応が難しかった要介護者であっても、複数の施設が連携することでケアできる範囲が増加するからです。
当然、居住系サービスがなくなるわけではありませんが、これから新たに福祉業界に進出することを考えるのであれば、在宅介護サービス、または生活支援・介護予防などのサービスはとくに注目しておきたいサービスでしょう。

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福祉業界に参入を考えるなら地域包括ケアシステムも視野に入れ検討!

総務省統計局の調べによると、2021年9月15日時点では、日本の総人口数は前年に比べて51万人減少しているものの、65歳以上の高齢者は22万人増加していました。高齢者人口の割合は1950年以降、一貫して上昇を続けており、2040年には人口の35%以上が65歳以上になるとされています。
そのため、地域包括ケアシステムへの取り組みは必ず必要になるものであり、今後多くの日本人が関わらざるを得ないでしょう。地域包括ケアシステムではさまざまな施設が連携するので、これから新たに福祉業界への参入を考えるのであれば、その一端を担えるかを検討することが重要です。

2025年を迎える前に、早めに取り組むことで社会貢献とビジネスチャンスの両方を手に入れられるかもしれませんよ。

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