年収103万円を超えたらどうなる?個人事業主の扶養範囲についても解説

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月14日 公開 (2019年11月29日 最終更新)
年収103万円を超えたらどうなる?

正規、非正規に関わらず、就業して一定以上の収入を得るようになると、家族の扶養からは抜ける必要があることは知られています。しかし、個人事業主として活動する場合に扶養がどうなるかというと、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、個人事業主の扶養や年収103万円の壁について紹介していきます。

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年収103万円の壁とは?

「年収103万円の壁」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。これは、パートやアルバイトなどで雇用されている人の年収が103万円以下であれば所得税を払わずに済み、103万円を1円でも超えると払わなければいけなくなることから、このような言われ方をしています。

所得税とは、1年間の所得に対して課される税金のことで、基本的に所得があれば所得税を支払わなければなりません。ここで注意したいのが、年収や収入は所得とは異なるものであるということです。所得とは、収入から適用可能な控除を引いて残った金額を指します。なお、控除とはある金額から一定の金額を差し引くことです。控除額が多いほど所得が低くなり、税金も少なくなります。

控除にはさまざまな種類があり、条件によって対象となるものとならないものとがあります。誰でも受けられるのが「基礎控除」の38万円で、給与を得ている人は「給与所得控除」の65万円が適用されます。年収が103万円の場合、この2つの控除を差し引くと残りはゼロとなり、課税対象となるものがなくなるため、所得税も払わなくて済むのです。

年収103万円を超えるとどうなる?

年収が103万円を1円でも超えてしまうと、金額に応じて所得税が発生しますが、課税対象となるのは、103万円を超えた額に対してです。たとえば、年収が120万円あったとしましょう。ここから、103万円(基礎控除38万円+給与所得控除65万円)を差し引くと17万円残ります。この17万円に対して所得税が発生するのです。所得税額は、所得金額によって決まっている税率をかけて算出します。所得が195万円以下であれば、税率は5%です。また、これとは別に復興特別所得税(原則として2.1%)の納付が必要です。計算式は次のようになり、100円未満は切り捨てますので、年収120万円のときの所得税額は8600円となります(17万円×0.05×1.021=8678円)。

また、配偶者や親などの扶養に入っている場合にも影響があります。被扶養者の収入が103万円以上になると、配偶者や親などの扶養者は、それまで受けていた控除が適用されなくなるのです。配偶者の場合は配偶者控除、それ以外の場合は扶養控除が適用されなくなり、控除がなくなると課税対象となる金額が増えるため、所得税も高くなります。

103万円以外もある?106万・130万・150万円の壁は?

年収に関する「壁」には、103万円のほかに106万円・130万円・150万円があります。これらは次のように分けると少しわかりやすくなるでしょう。

・所得税に関する壁:103万円・150万円
・社会保険料に関する壁:106万円・130万円

150万円は、親ではなく配偶者の扶養に入っている場合に関係してくる壁です。たとえば、妻が夫の扶養に入っていたとしましょう。妻の年収が150万円以下であれば、夫は配偶者特別控除が受けられます。しかし、150万円を超えると控除額が段階的に減っていき、201万円でゼロになるのです。

106万円の壁は、正社員が501人以上いる会社で雇用され、一定の条件を満たしている人のみ関係します。条件とは「月額賃金が8万8000円以上」「雇用期間が1年以上」などです。条件を満たす場合、厚生年金や健康保険に加入し、保険料を負担しなければなりません。給与から天引きされ、手取りが減ります。

正社員が500人以下の会社で働き配偶者の扶養に入っている人は、年収が130万円までであれば社会保険料を負担する必要はありません。130万円を超えたら扶養から抜け、自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を払います。

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103万円から150万円に変更?配偶者控除の改正について

かつては、扶養に入っているケースで扶養者が配偶者控除を受けられるのは、被扶養者の年収が103万円以下である必要がありました。しかし、2018年1月からは、控除を受けられる被扶養者の年収の上限額が引き上げられました。被扶養者の年収が103万円を超えていても150万円以下であれば、「配偶者特別控除」として扶養者の収入から38万円を控除することが可能になったのです。

また、150万円を超えても、段階的に金額は減るものの、201万円以下までは控除が適用されます。たとえば、被扶養者の年収が150万円を超え155万円以下であれば扶養者の受けられる控除額は36万円です。155万円を超え160万円以下であれば、控除額は31万円となります。

ただし、扶養者の収入によっても配偶者控除の金額は変動しますので、注意が必要です。扶養者夫の所得が900万円(収入ベースで1120万円)以下であれば、上述の金額が適用されます。しかし、たとえば、扶養者の所得が900万円を超えて950万円以下のときは、被扶養者の年収が150万円以下であっても控除される額は26万円です。また、扶養者の所得が950万円を超え1000万円以下であれば、被扶養者の年収が150万円以下でも控除額は13万円となります。扶養者の所得が1000万円(収入1220万円)を超えていれば、配偶者特別控除は適用されません。

103万~150万の壁

個人事業主が103万円以上超えたら税金や社会保険はどうなる?

103万円や106万円といった壁は、会社に雇用されて働き、給与を得ている人が適用されます。それでは、企業に雇用されていない個人事業主の場合は、所得税や社会保険はどうなるでしょうか。ここでは、個人事業主の収入が103万円を超えた場合について説明していきます。

税金関連

まずは、個人事業主が納めるべき税金関連について説明していきましょう。個人事業主の場合、上でも述べた基礎控除の38万円を収入から差し引くことができます。これは、一律で38万円と決まっていて、給与所得者であっても個人事業主であっても金額は変わりません。

ただし、給与所得者であれば適用された給与所得控除の65万円を受けることはできません。名称通り、これは給与を得ている人に対して適用されるものだからです。そのため、個人事業主の場合は収入が38万円を超えたら所得税が発生します。「103万円の壁」ではなく「38万円の壁」が存在するといえるでしょう。

ただし、個人事業主は事業にかかった必要経費を収入から引くことが認められています。経費をきちんと計上することで所得の額を減らすことができ、節税が可能です。

社会保険関連

次に、健康保険や年金など社会保険について説明していきましょう。健康保険は加入している健康保険組合によって扶養の扱いが異なるため、個人で確認する必要があります。

たとえば、被扶養者が個人事業主であっても年収が130万円以下であれば問題はないとする健康組合もあれば、所得が130万円までならいいとするところもあるのです。また、なかには、個人事業主であるというだけで扶養に入れないケースもあります。この場合は、たとえ収入がほとんどなくても扶養に入れないため負担が大幅に増えることになり、注意が必要です。扶養に入れないときは、国民健康保険に加入して自分で保険料を支払う必要があります。

国民年金については、収入から必要経費を引いた金額が130万円までであれば第3号被保険者になれ、保険料を負担する必要はありません。しかし、130万円を1円でも超えたら被扶養者の扶養から外れますので、自分で国民年金に加入して保険料を負担する必要があります。

年収103万円の壁を理解しておこう!

所得税や保険の加入などは、収入によって支払う金額が大きく変わってきます。パートやアルバイトで仕事を始めたときだけでなく、副業で事業を始めた個人事業主などは、一定額までは収入を抑えて家族の扶養に入っていたほうがいい場合もあるでしょう。所得税や保険料の支払いで損をしないように制度をよく理解し、働き方を考えることが大切です。

年収103万円を超えたらどうなる?

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