個人事業主の健康保険は国保一択ではない! 保険料を安く抑える方法とは

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月07日 公開 (2019年11月20日 最終更新)
個人事業主の健康保険

個人事業主になっても、会社員時代と同じように健康保険に加入する必要があります。しかし、会社員とは違い、個人事業主は自分で加入する保険を選び、保険料の全額を自己負担しなければいけません。

そこで、この記事では個人事業主が加入できる健康保険の種類や、保険料を安く抑えるための方法などについて詳しく解説します。

2022年に独立開業や新規事業検討者が選んだビジネスベスト30

加入は義務!個人事業主も健康保険に入る必要がある

日本には、「国民皆保険制度」というものがあります。そのため、すべての国民が何らかの保険に入ることが義務付けられているのです。会社員の場合には一般的に健康保険(社会保険)と厚生年金保険に入っていることが多いでしょう。これらの保険料は会社と折半しており、給料から天引きされることが一般的であるため、どのくらいの金額を払っているのか詳しく把握していないケースも珍しくはありません。

一方、会社を退職するなどして個人事業主になった場合には、基本的には地方自治体による国民健康保険に加入することになります。国民健康保険に加入するためには、自分自身で切り替えの手続きをする必要があるので、会社を退職した場合には速やかに役所に行って手続きをおこなうようにするといいでしょう。

国民健康保険以外に選択肢も!個人事業主が加入できる健康保険

個人事業主が加入できる健康保険は、国民健康保険しかないと思っている人も多いでしょう。しかし、国民健康保険だけが選択肢ではありません。個人事業主が加入できる健康保険には、国民健康保険を含めて全部で4つの種類があります。どのような種類があるのか、詳しく見ていきましょう

国民健康保険

個人事業主が加入できる健康保険としてもっともメジャーなのが、国民健康保険です。個人事業主は、原則としてこの国民健康保険に加入する必要があります。国民健康保険は市町村が運営しているのが特徴です。そのため、加入条件や保険料などが市町村によって異なるため、自分の住んでいる地域の役所で確認してみるといいでしょう。

また、扶養という概念がないことも国民健康保険の特徴のひとつです。会社員が加入する社会保険には扶養という概念があるため、条件を満たしていれば、配偶者などが自分で保険料を支払う必要はありませんでした。しかし、国民健康保険の場合には扶養がないため、対象となる家族の人数分保険料を支払う必要があるので注意が必要です。

健康保険の扶養家族

両親や配偶者などが健康保険に加入している場合には、その健康保険の扶養家族に入るといった方法もあります。扶養対象として認められることができれば、保険料を負担することなく加入することが可能です。

扶養家族として認められるための条件は、年収が130万円未満で、被保険者が扶養家族と生計を同一にしていることや、扶養してくれる家族の年収の2分の1未満であることです。加入するためには、退職から5日以内などの条件もありますので、退職前に条件に合致しているか調べて、手続きの方法を確認しておくと安心でしょう。

健康保険の任意継続

3つ目に、健康保険の任意継続といったものもあります。これは、退職した会社で協会けんぽ、または健康保険組合に2カ月以上加入した実績があれば、退職後も健康保険を2年間継続できる制度となっています。

任意継続をする場合には、もともと会社が半分負担していた分も含めて、すべての保険料が自己負担となるので気をつけましょう。申請の手続きは、住んでいる地域の協会けんぽ、もしくは健康保険組合で行ないます。資格喪失日から20日以内の手続きとなっているので、早めの手続きをおこないましょう。

扶養家族がいる場合には、2年間は扶養家族も継続して健康保険に加入することが可能です。また、保険料の支払いが遅れた場合には、翌日すぐに資格喪失してしまって復活できないので、支払いを忘れないようにすることが重要になります。

健康保険組合

健康保険組合に入ることもひとつの方法でしょう。個人事業主だと健康保険組合に加入できないと思っている人が多いでしょうが、職種によっては加入が可能なケースもあります。業種によって健康保険組合が分かれている場合が多いので、あらかじめ同業の個人事業主に確認しておくといいでしょう。

一例として、関東信越税理士会会員である税理士とその職員、家族が加入できる「関東信越税理士国民健康保険組合」や、芸術活動を行っている組合に加盟している団体の会員、家族が加入できる「文芸美術国民健康保険組合」などがあります。また、美容業界唯一の国民健康保険である「東京美容国民健康保険組合」などもありますので、調べてみるといいでしょう。

退職後は保険料に注意!会社員と個人事業主の健康保険料の違い

退職後、健康保険料が増えて驚いたという人も少なくはありません。会社員と個人事業主では、健康保険料に大きな違いがあるので、その仕組みをしっかりと把握しておくことが重要になるでしょう。どのような違いがあるのか、詳しく解説していきます。

社会保険は会社が半分負担

会社員が加入している社会保険は、保険料の半分を会社側が負担してくれていることが大きな特徴になります。そのため、実際に支払う健康保険料が半分になるため、負担が軽くなっているのです。しかし、個人事業主として国民健康保険に加入する場合には、すべての保険料を自分自身が支払う必要があります。今まで半分の負担でよかったものが、全額負担になるため金額が大きくなってしまうのです。

またこれだけではなく、国民年金保険には扶養の概念がないことも負担が大きくなる要因でしょう。会社員時代は、扶養家族の分も含めた金額になっていましたが、国民健康保険の場合には配偶者や子どもなど、1人1人に保険料が発生します。そのため、家族が多いケースでは保険料が多くなってしまうことも多いのです。

2022年に独立開業や新規事業検討者が選んだビジネスベスト30

国民健康保険料を安く抑えたい!青色申告を利用しよう

できるだけ国民健康保険料を安く抑えたいと思っているのなら、青色申告を利用するといった方法があります。青色申告とは確定申告の方法の1つで、白色申告よりも節税効果が高いため、健康保険料を抑えるのに役立ちます。

青色申告をする場合、簡易簿記なら10万円、複式簿記なら65万円の控除を受けることが可能で、特別控除によって所得金額が下がることになります。健康保険料などは所得金額によって算出されますので、特別控除によって所得金額が減ることで必然的に国民健康保険料も下がることになるのです。住民税や所得税などを抑える効果もありますので、節税のためには青色申告をするといいでしょう。

個人事業主は手続きが必要!国民健康保険の手続きの仕方

健康保険から国民健康保険に切り替えるためには、自分自身で手続きをする必要があります。まず、退職の翌日から14日以内に加入手続きをすることが求められているので、できるだけ早めに行なうといいでしょう。

手続きは、居住している市区町村の役場で行ない、会社を退職したことを証明する書類、本人確認書類(免許証やパスポートなど)、個人番号確認書類の3つを持参する必要があります。

退職したことを証明する書類

・会社が発行してくれる退職証明書や離職票
・社会保険の資格喪失確認通知書など

個人事業主になったら!自分に合う健康保険に加入しよう

会社員時代とは違い保険料の負担が大きくなるケースが多いですが、個人事業主でも加入できる保険の種類はいくつかあります。しかし、手続きの期限などがあるので、退職する前に調べておく必要があります。また、収入によっては保険料が変動することもあるので、どの保険がもっとも安くなるのか自分に合った保険を選択して、保険料を安く抑えましょう。

個人事業主の健康保険

記事は気に入っていただけましたか?
「いいね!」で応援よろしくお願いします

新着情報をお届けします♪