独立のリスクを減らすには?独立で失敗しないための全知識

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年01月22日 公開 (2021年08月11日 最終更新)
独立のリスクを減らすには?独立で失敗しないための全知識

独立には、さまざまな資金を確保しなければなりませんし、開業までの準備期間も必要です。独立すること自体は難しくありませんが、何年も事業を継続させることは統計的にみても決して簡単なことではありません。

また、独立が難しくないとはいえ一定のリスクがあるのは事実であるため、リスクを抑えつつ開業にこぎつけたいところです。そこで、今回は独立の手法、運営、資金などの情報を紹介します。

2023年に独立開業や新規事業検討者が選んだビジネスベスト30

独立のメリット

独立とは、サラリーマンが会社などの組織を辞めて事業を始めることであり、独立するだけなら誰でもできます。

独立を検討した際に最も重要なことは、なぜ独立したいと考えたのかという点です。サラリーマンとして会社に所属して働くなかで、「組織の一員として働くことに嫌気がさした」「自由にビジネスをしたい」「企業の将来性に不安を感じる」「人付き合いが面倒」といった漠然とした理由で独立を考える人もいます。

漠然とした理由が悪いわけではないものの、目指す事業・ビジネスが見えていなければ独立しても成功はできません。ビジネスをはじめるにあたり、どのような内容にするのか、どのやって稼ぐのか、明確な計画を立てる必要があります。

独立のメリットとして挙げられるのは、自分のやりたい事業を自分が思う通りにできること、会社員時代よりも高収入を得られる可能性があること、定年という概念がないことです。独立当初は思うように行かないことも多いかもしれませんが、需要のある事業ならば少しずつでも結果が伴ってくるでしょう。

独立するメリットの裏に潜む、大きなリスク

まずは、自分がなぜ独立したいのか、どのように独立するのか、その方法を検討しましょう。そのときに重要なのが、独立に関するリスクを考えること。多くの場合、独立によるメリットを先に考えてしまいますが、メリットだけを見ているのでは十分な準備ができているとはいえません。

独立による最も大きなリスクは、十分な収入を得られるかどうかであり、最初から十分な収入を得られるケースは少ないといえます。

また、ビジネスを軌道に乗せられたとしても、大きなミスやトラブルが起こる可能性も0%ではありません。リスクを理解していなければ、万が一のときに対処できないため、メリットだけではなくあらゆるリスクについても考えておかなければならないのです。 メリットやリスク、目標を明確にして、実際に独立しようと考えたとき、フリーランスや個人事業主、業務委託、法人設立などさまざまな選択肢があります。しかし、経営経験がないサラリーマンにとって、しっかりと稼いでいける事業を立ちあげることは難しいといえるでしょう。

なお、独立して失敗してもすべて自己責任であること、収入の保証はないこと、独立後に社会から信用を得るのは簡単ではないことなどのデメリットがあり、独立するのは難しくないもののリスクが付きまといます。ただ、デメリットとなる部分を押さえておけば独立のリスクを限定的にすることが可能です。

独立の方法「フリーランス」と「起業」、どちらがリスク多い?

独立をするには、フリーランス(個人事業主)として突き進む道と、起業したあとで法人成りをして業務を拡大するという2つの道があります。

2016年版の「小規模企業白書」と「IT人材白書」を見ると、フリーランスが実際に仕事を得ている方法として多いのは「知人・同業者からの紹介」「自らの営業」「前職からの個人的な繋がり」の順です。また、フリーランスの年収は500万円未満の層が全体の6割ほどと最も多く、年収100万円という人も2割強います。一方で、1000万円以上の年収となると全体の1割未満となっており、なかなか厳しい世界であると言えるでしょう。

独立前に比べて収入が減ってしまったというような事態に陥らないためには、時間を切り売りして収入を稼ぐのではなく、ノウハウにお金を出してくれる直接契約のクライアントを増やさなければなりません。

では、どのようにしたら独立のリスクを抑えつつ成功できるのでしょうか。本記事では起業を中心に独立で成功するためのポイントを紹介していきます。

リスク少なく独立できる、未経験でも経営を学べるフランチャイズ

ここまでで、独立は難しいのでは……と思った方もいらっしゃるでしょう。そこで経営未経験でも失敗しにくいのが、フランチャイズ。

街なかでよく見かける、セブン-イレブンやマクドナルドといった、飲食・小売店だけでなく、学習塾や介護施設なども実はフランチャイズという仕組みを使って展開されているものが数多くあります。

全国で広く展開され、多くのフランチャイズ加盟店が成功しています。すでに成功している店舗の看板やメニュー、経営ノウハウなどを提供してもらえるフランチャイズを利用することは、独立のひとつの選択肢といえるでしょう。

失敗しないために、知っておきたい初期投資やランニングコストと収益の関係

独立して店舗運営を始めるなら、経費については詳しく知っておきたいものです。ここでは、カフェ、パスタ屋、ヨガ教室を例に挙げて紹介します。

コンパクトな飲食の事例「カフェ」:リスク【小】

カフェの経営はリスクが小さい部類に入るものの、ライバルが多い業界なので他店舗と差別化できるメニュー開発が必須です。そのうえで、コーヒーの淹れ方やコーヒー豆に関する知識を身につける必要があります。

カフェ運営で独立を考えているものの実務経験がない場合は、開業前に短期アルバイトでオペレーションを学ぶのも有効です。

実際にカフェの開業に必要な資金は、店舗の立地環境などによって左右されますが、小規模のカフェでも500~1,000万円程度の資金は必要です。

たとえば、駅チカの店舗面積15坪の物件で30席のカフェを経営する場合、開業資金は900万円ほど用意する必要があります。

【開業資金イメージ】

物件取得費 180万円
内外装工事費 500万円
什器・備品費 200万円
広告宣伝費・仕入れ費 30万円
合計 910万円

そして、想定する1日あたりの来店客数60人、客単価900円のカフェを開業する場合の年間あたりの損益イメージは以下のようになります。

【損益イメージ】

売上高 1,685万円
売上総利益 1,180万円
販売費及び一般管理費 1,130万円
人件費 610万円
地代家賃 180万円
その他 320万円
営業利益 50万円

きちんと店舗を構える飲食店の事例「パスタ屋」:リスク【中】

パスタ屋を開業する場合、物件取得費から工事費、設備費などを含めると2,000万円以上かかるケースが少なくありません。

【開業資金イメージ】

物件取得費 330万円
内外装工事費 550万円
什器・備品費 650万円
広告宣伝費・仕入れ費 50万円
その他開業費 420万円
合計 2,000万円

飲食店の場合、初期投資の通常の返済計画は3年ですので、実際に3年で返却するにはどうすればいいのか考えてみます。

【損益イメージ】

売上高 5,700万円
売上総利益 3,990万円
販売費及び一般管理費 3,320万円
人件費 1,620万円
地代家賃 360万円
その他(減価償却費、消耗品費など) 1,340万円
営業利益 670万円

開業資金の返済は営業利益から捻出する必要があり、2,000万円を3年で返却するには、年間平均で約670万円以上の利益が条件です。営業利益率を15%とすると、年間約670万円の利益を得るには約5,700万円の売上が必要になります。

たとえば、想定客単価1,600円のパスタ屋なら、平均客数100人、年357日営業で5,700万円に到達できますが、実際のところ独立初年度からこの数字を出すのは簡単ではないでしょう。

コンパクトな場所とスキルで開業可能な事例「ヨガ教室」:リスク【小】

ヨガ教室の開業で独立するには、小規模ならマンションの1室でも始められるのでリスクは小さめです。なかには、リモートでヨガ教室を運営している事業者もいます。規模を大きくして運営するなら公民館で教室を開いて集客することも可能ですが、宣伝費も高額になりがちです。

たとえば、賃貸でヨガ教室を開業する場合にかかる初期費用は300万円程度が目安になります。

【開業資金イメージ】

物件取得費 120万円
内外装工事費 30万円
什器・備品費 100万円
広告宣伝費・仕入れ費 50万円
合計 300万円

また、売上は入会金や会費、ビジター利用料がメインの売上になるので、まずは会員数を増やすことが売上を確保するために欠かせません。

【損益イメージ】

売上高 1,200万円
売上総利益 360万円
販売費及び一般管理費 300万円
人件費 175万円
地代家賃 120万円
その他 5万円
営業利益 60万円

月会員費が1万円で会員数が100人なら月の売上は100万円です。そして、新規入会者がいれば入会金、商品を販売できればその売上が加算されます。月会費をベースに年間の損益を考えると、売上は1,200万円、売上高総利益率を30%、販売費及び一般管理費を25%と想定した場合、営業利益は60万円ほどが目安です。

もっとも、1万円の会員費を支払ってまで通うだけの価値がなければ100人の会員を集めるのは大変です。会員獲得のための入会金無料サービスの導入や、退会させないための工夫なども重要です。

上記2つの飲食店と違い、ヨガ教室のようなストックビジネスは会員が集まれば安定した経営をできますが、開業当初の会員が少ない時期は資金繰りが難しくなるので、十分な運転資金を用意しておく必要があります。

編集部厳選!注目フランチャイズ特集

独立に必要な資金とは

独立に必要な資金とは

日本政策金融公庫「2018年度新規開業実態調査」によると、開業資金の平均値は2018年時点で1,062万円となっていて、2008年の1,238万円から170万円以上も下がっています。必要な資金が右肩下がりになっているため、これから独立したい人にとって希望を持てる状況です。開業資金を用意するには、自分で資金を用意する方法と融資を受ける方法の2つがあり、どちらを選択するかはじっくりと検討したいところです。それぞれの資金について詳しく見ていきましょう。

失敗しないために自己資金は大切

独立開業をするには、一般的に開業資金の3割~5割程度の自己資金の用意が必要とされています。創業関連の融資を申込む際に、一定程度の自己資金保有が条件になっている場合が多いからです。

また、独立開業後に残念ながら経営に躓いてしまう人もいる点を踏まえても、自己資金は多いほど経営の安定化を図れます。

たとえば、開業資金として1,000万円必要で、5年返済で借入れする場合、毎年の返済金額は200万円です。初年度から順調に利益を出せるとは言いにくいですし、新型コロナウイルス感染症のように突然利益が落ち込むケースもあることから、利益が200万円に届かない年度もあるかもしれません。

このようなケースを想定すると、自己資金は多いほど失敗しにくいと言えるでしょう。

融資で資金繰りのリスクを減らす

自己資金の必要性はわかっていても、どうしても資金が足りなければ融資を受けてリスクを減らす必要があります。

融資の申込み先として優先順位が高いのは、日本政策金融公庫、民間金融機関、地方自治体の起業支援制度の順になります。

日本政策金融公庫

新たに創業しようとする人向けに、無担保・無保証で最高3,000万円まで融資してくれる制度があります。

民間金融機関

金融機関から融資を受けるためには信頼性があることが条件です。新規創業者は、信用保証協会の保証承諾を受けたうえでの融資実行という流れになります。

地方自治体の起業支援制度

新規創業する人向けの支援を行なっています。助成金や補助金の要件は各自治体で異なり、予算がなくなれば終了する早い者勝ちとなっているのが一般的です。

独立後の事業拡大について

独立して事業が波に乗ったとしても、それが永遠に続くわけではありません。とりわけ、安定・拡大期に入ると以下のような課題が見えてくることもあります。

【安定・拡大期における課題】

1.質の高い人材の確保
2.新たな製品・商品・サービスの開発
3.販路開拓・マーケティング

起業後に事業が安定してきた場合、その後のステップに進むためには優秀な人材の確保が大切です。

【安定・拡大期における必要な人材】

1.経営を補佐する人材
2.販路開拓ができる人材
3.後継者候補となる人財

これらは成長期でも必要な人材ですが、事業を拡大しようとするタイミングでも重要なキーパーソンになります。特に、起業から10年以上経つと事業承継について考える必要もあるため、後継者候補となる人材の確保は重点を置く必要があるでしょう。

雇用の種類

従業員の雇用形態は、期間を定めずに雇用する正規雇用と、期間を定めて雇用する非正規雇用の2種類があります。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。

【正規雇用のメリット】

・長期の戦力となる人材を獲得しやすい
・応募が集まりやすく優秀な人材を獲得しやすい

【正規雇用のデメリット】

・不良社員がいても経営者の一方的な理由での解雇はできない
・一般的にボーナスやベアアップ制度を用意する必要がある

【非正規雇用のメリット】

・繁忙期や閑散期に合わせてシフト調整ができる
・雇用契約の内容によっては社会保険への加入をしなくて済む

【非正規雇用のデメリット】

・非正規雇用を増やしすぎると社員が育たなくなる
・ルーチンワークが中心で責任のある仕事を任せられない

失敗しない人材補強:人を雇うということ

起業をして人材を雇用することにより事業の成長と発展が可能になりますが、一方で採用した人の人生を変えることにつながります。そのため、雇用についてはさまざまな面から考えることが大切です。

たとえば、どのような人材採用の手法を決定することから始まり、どんな評価制度を設けてどのように反映させていくのか、人材育成の手法や退職の基準などもしっかりと詰めておかなければなりません。

また、勤怠管理や給与計算、社会保険、福利厚生なども従業員の雇用前に決定しておく必要があります。とりあえずスタートして徐々に決めていくという考え方では優秀な人材は集まりにくいですし、きちんとした活躍も望めないので、採用手法や待遇などは事前にしっかりと決めておきましょう。

独立のリスクを少なくする方法は

新型コロナウイルス感染症のような不測の事態が起きると、業態によっては大きな打撃を受けてしまいます。コロナ禍では、飲食業界が大きすぎるダメージを受けているのは周知の事実でしょう。

そのため、独立して事業の成長にまい進するだけでなく、リスクヘッジについてもしっかりと考えておかなければなりません。

たとえば、どんなに自信のある事業だとしても、小さく始めて利益を積み重ねていくのは有効なリスクヘッジになります。また、飲食業と並行してアパレル業界も始めるなどのように、異業種への展開を進めるのも今回のコロナ感染のような影響を回避できるでしょう。

失敗ではなく成功を目指す独立とは

独立開業におけるリスクのほとんどは利益が出ないことですから、リスクを最小限に抑えるにはできるだけお金を使わずに手元に資金を残しておくのが基本です。資金が残っていれば、多少の赤字があっても補填できます。

また、新規事業へ参入するためにも資金は必要です。たとえば、サステナブル(地球環境の持続可能性)に配慮した事業への取り組みも増えていて、アメリカの企業では飲料や日用品などを再利用可能な容器に詰めて宅配するサブスクリプション・サービスに取り組んでいます。さらに、同社ではミミズのフンから作るオーガニック堆肥を炭酸飲料の空き瓶に入れて製品化するビジネスも始めました。

このような新しい取り組みの中にビジネスチャンスが転がっているケースは多々あります。ライバルに先んじて取り組んで成功しようとする明確な目標があれば、わき目を振らずに進める分だけリスクも限定的になるでしょう。

また、リスクを限定的にして独立を目指す方法としてフランチャイズを利用するのも有効です。フランチャイズなら、経営のノウハウを学びながらサポートも受けられるので、独立するには賢い方法と言えます。

企業や独立についてのよくある質問

起業におすすめの業種はありますか?

コロナの影響もあり、起業するのにおすすめの職種は変わってきています。元の社会に戻れるとは言えないなかで、独立するためのキーワードは「店舗を持たない」「1人でも事業ができる」「リモートで販売できる」などが挙げられます。たとえば、飲食業ならイートインよりもテイクアウトやデリバリー需要が高まってきている状況ですし、オンラインジムやオンラインヨガなども注目されています。

地方創生はなぜおすすめなのでしょうか?

地方創生とは、東京圏から地方へ住み替え、人口減少を抑制しつつ日本の社会全体を維持していくことを目指す取り組みです。2020年からは「まち・ひと・しごと」の総合戦略が始まり、特定の地域と継続的に関わる「関係人口」の創出にも力を入れています。また、地方創生事業には支援金があり、地域の課題に取り組む起業には最大200万円の支援金、起業するために移住する人には最大100万円の支援金を受けられます。

週末起業ってどうでしょう?

平日は会社員として働き、休日だけ事業主として仕事をする働き方が週末起業で、取り組み方としては副業と同じです。将来的に独立を考えている人がお試しで起業できる点はメリットがあります。プライベートの時間は減ってしまいますが、失敗しても本業の収入があるのでリスクヘッジにもなるでしょう。また、自分では人気が出ると思っていた事業が実は不人気で、想定していなかった事業にビジネスチャンスが見つかることもあります。

おすすめの助成金ってありますか?

「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」、東京都の「創業助成事業」、大阪の「グローイングアップ事業」など、補助金・助成金はたくさんあります。なお、ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能です。独立して最初に困るのが資金ですから、補助金・助成金は経済産業や厚生労働省、自治体のホームページなどをしっかりとチェックしておきましょう。要件を満たしていれば複数の補助金・助成金に同時申請できる場合もあります。

独立のリスクを減らすには?独立で失敗しないための全知識

記事は気に入っていただけましたか?
「いいね!」で応援よろしくお願いします

新着情報をお届けします♪