個人事業主は青色申告をするべき?得られるメリットと注意点を解説

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月14日 公開 (2019年11月29日 最終更新)
青色申告と白色申告の違い

事業を運営している人は毎年必ず確定申告をしなければなりません。特に個人事業主の場合、白色申告と節税効果の高い青色申告のどちらを選ぶかによって税制の面で大きく変わってくるので、しっかり対策を行なう必要があります。

そこで今回は、青色申告と白色申告の違いや、青色申告をすることで得られるメリット、注意点について解説していきます。

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個人事業主の確定申告!青色申告と白色申告とは

まず、個人事業主の確定申告には青色申告のほかに白色申告というものがあり、それぞれ手続きが違うことを理解しておかなければなりません。ここでは、青色申告と白色申告で具体的にどのような違いがあるのか詳しく解説していきます。

青色申告

青色申告を行うためには、いくつかの条件を満たし、税務署の承認を受ける必要があります。青色申告には税務上いくつかの特典がありますが、1年間に生じた所得を細かく計算して申告する必要があり、日々の収入や必要経費に関する取引を記帳したり、書類を保存したりしておかなければなりません。

普段から日常的に複式簿記で記帳し、その記帳に基づいて確定申告を行なうことで、はじめて青色申告の特典を受けることができます。

白色申告

青色申告で必要な条件を満たしておらず、承認を受けられない場合に行なう確定申告が「白色申告」となります。白色申告では、青色申告のときのような申請の手続きが必要なく、単式簿記で記帳しておくだけで申告することができるので、青色申告ほどの手間はかかりません。いわゆるどんぶり勘定の場合は白色申告になります。

しかし、その分経費などを細かく計算することができず、詳細な申告もできなくなるので、税金の算出も青色申告より多めになってしまいます。

青色申告・白色申告に向けて用意する!必要な書類一覧

確定申告には必要な書類がいくつかありますが、青色申告と白色申告では提出書類に若干の違いがあり、申告方法に応じて準備するものを変えなければなりません。ここでは、それぞれのケースでどのような書類を準備しておかなければならないのか詳しく解説していきます。

青色申告

青色申告をする場合、「確定申告書 B」、「青色申告決算書」「控除関係書類の添付書類」(医療費の領収証や社会保険料、生命保険料、地震保険料、寄付金、住宅借入金など)、「源泉徴収票」の4種類の書類が必要になります。

青色申告書で特徴的なのが、「青色申告決算書」が必要になるということでしょう。これは、事業を運営する際にかかった経費や収入金額を計算する書類で、青色申告を行なう際は必ず用意しておかなければなりません。青色申告決算書は「損益計算書」「損益計算書の内訳」「貸借対照表」で構成されており、それぞれ記入するにはある程度の知識が必要になります。

白色申告

白色申告では、「確定申告書B」、「控除関係書類の添付」(医療費の領収証や社会保険料、生命保険料、地震保険料、寄付金、住宅借入金など)、「収支内訳書」、「源泉徴収票」(給与所得などがあった場合)などの書類が必要です。

青色申告書と違う点として「収支内訳書」が必要になるということが挙げられます。収支内訳書には、その年に発生した売上げや仕入れ額、人件費や交通費などの経費を記入して所得額を算出する役割がありますが、青色申告決算書ほど細かく算出することはできません。その分、記入が簡単であるという利点があります。

個人事業主は誰でもできる?青色申告ができる・できない条件とは

青色申告では10万円と65万円の青色申告特別控除の特典が受けられますが、10万円の控除を受けるには事業所得や不動産所得、山林所得がある人なら誰でも利用が可能です。また、65万円の控除を受ける場合は、正規の簿記の原則に基づいて記帳し、作成した貸借対照表と損益計算書を、確定申告期限内に提出することが条件です。

そして、青色申告を行なうためには「青色申告承認申請書」を、その年の3月15日までに税務署に提出しておく必要があるので注意が必要です。

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個人事業主にとって大きな節税効果!青色申告のメリットについて

青色申告は多少書類の準備に手間がかかりますが、個人事業主にとってはメリットがたくさんあり、特に節税において非常に心強い味方になってくれます。ここで、青色申告のメリットを詳しく確認しておきましょう。

最大65万円の所得控除がある

一番に挙げられるメリットとして忘れてはならないのが「最大65万円の所得控除が受けられる」ということです。記帳の際に複式簿記を利用しなければなりませんが、青色申告は非常に高い効果が得られる一番の節税対策といっていいでしょう。

単式簿記を使用した記帳でも、10万円の所得控除を受けることが可能となっていますが、65万円の所得控除と比べると金額の差は歴然です。少しでも節税をしたいのであれば青色申告が必須になるということを頭に入れておきましょう。

家族の給与を経費にできる

青色申告には「青色事業専従者給与」という制度があります。これは、事業主の家族が従業員として働いている場合、その給与も一緒に必要経費として計上できる制度であり、課税対象額から差し引けるので節税に効果的です。

この制度を利用するにはあらかじめ届出が必要で、下記条件があるので覚えておきましょう。

・対象者が15歳以上であること
・従事の期間が6ヶ月以上であること
・アルバイトでないこと

家事関連の費用を経費にできる

個人事業主の人の中には自宅を事務所として利用している人もいるでしょう。そのような人たちにぜひ覚えておいて欲しいのが、青色申告は家事関連費を経費として計上することができるということです。家賃や光熱費のうち、事業に要した部分の費用を経費にできるので、日頃から細かく計算しておくことをおすすめします。

純損失を3年繰り越せる

開業初年度から事業を軌道に乗せるのはなかなか難しいことですが、青色申告では純損失を3年繰り越せるというメリットがあり、将来的に大きな節税効果が得られます。赤字になった年から3年の間に黒字になった場合、確定申告の際に黒字の所得から赤字分を差し引くことができるので、所得税を抑えることができるでしょう。

申告する前に知っておきたい!個人事業主が青色申告を行う際の注意点

青色申告を行なう際に気をつけなければいけないことの一つが、青色申告承認申請書の提出期限です。その年の3月15日までに青色申告承認申請書が間に合わなかった場合、翌年からの適用となってしまうので注意しましょう。また、他の書類に関しても不備などがあれば許可が取り消されることがあります。確定申告の直前になって準備をしていると不備も出やすくなるので、時間にゆとりを持って行なうように心掛けましょう。

青色申告のメリットを受ける!青色申告の仕方や書類の提出時期

青色申告を行なう場合は前述した必要書類を揃えて、所轄の税務署に提出しなければなりません。自分の住んでいる場所がどのように管轄されているのかよく確認しておきましょう。

書類の提出時期は翌年2月16日〜3月15日までの1カ月間となっています。青色申告の節税メリットを確実に受けるためにも、早めの準備、早めの提出を徹底することが大事です。

個人事業主にメリットの大きい青色申告!事前に届出をしよう

個人事業主が確定申告するときは、業務を運営しながら申告手続きを進めなければならないので、大変なこともあるでしょう。しかし、申告直前にまとめてするのではなく、帳簿管理を日々習慣づけるようにしておけば、間違いも少なくなります。青色申告の承認を受けるためには、書類提出や届出などあらかじめ準備を要することがたくさんあるので、時間にゆとりを持って手続きを進めて、節税対策しましょう。

青色申告と白色申告の違い

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