個人事業主でも扶養対象になる?税金・社会保障の扶養について徹底解説

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月16日 公開 (2019年11月29日 最終更新)
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個人事業主として独立する際に「軌道に乗るまでは家族の扶養に入っておきたい」「扶養の範囲内で仕事をしたい」と考える人も多いのではないでしょうか。

家族の扶養に入ることで税制面や社会福祉面での優遇を受けることができ、独立に伴う負担の一部を軽減できるからです。そこで、この記事では個人事業主と扶養について、詳しく紹介していきます。

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個人事業主として開業した後も扶養に入れる?

個人事業主も家族の扶養に入ることはできますが、税金面、社会保険面の両方において扶養範囲や条件が定められています。家族が勤めている会社によって条件が異なる場合もあるため、事前に確認が必要です。

扶養は、扶養される人にとってだけでなく、扶養する人にとっても、所得税や住民税が引き下げられるなど、節税できるメリットがあります。

個人事業主の税金面での扶養について

年間の所得が38万円以下の場合

個人事業主が税金面で扶養に入るためには、年間の所得が38万円以下であることが条件になります。所得とは、1月を起算として12月までの年間収入から経費を差し引いたものです。

たとえば、年間の合計収入が50万円で経費が15万円かかった場合、所得は35万円となるため、所得税はかからないことになります。所得が38万円を超えない場合は確定申告の必要もありません。

年間の所得が38万円を超える場合

しかし、個人事業主として開業する場合、所得が38万円を超える可能性は十分に考えられることでしょう。この場合でも、確定申告を行えばさらに控除を受けることができます。複式簿記を用いた青色申告の場合は65万円、簡易簿記を用いた青色申告の場合は10万円が、さらに控除されるのです。

所得に対して支払う税金には所得税と住民税があり、年間の所得が38万円以下であれば所得税はかかりませんが、住民税は年間所得が38万円以下であっても課税されることがあるので気を付けましょう。

個人事業主の社会保険の扶養について

扶養には、税金と社会保険の両面で優遇措置があり、それぞれ条件が異なります。ここでは、個人事業主の社会保険の扶養について説明していきます。

健康保険

健康保険の場合、年収が130万円未満であれば扶養に入れるものが多いです。しかし、健康保険には、国民健康保険、全国健康保険協会(協会けんぽ)、共済組合などさまざまな種類があり、扶養に入れる条件がそれぞれで異なります。

また、健康保険と税金とでは扶養条件が異なり、青色申告で最大65万円が控除されるというのは税金面での特例です。多くの健康保険では必要経費を差し引き、年間に得る予定の見込み額が130万円を超えているかどうかが判断条件になります。

国民年金

国民年金も同様に年収が130万円を超えなければ、扶養に入ることができます。扶養に入ると第3号被保険者となりますが、扶養を外れると第1号被保険者となり、国民年金を自分で納めなければなりません。

また、税金面では1月から12月までの年間所得が判断の基準になるのに対し、国民年金・健康保険共に社会保険面では、年収を見込み額で算出します。見込み額とは「このままのペースで働いていれば年間で130万円を超える」という目安の金額です。

たとえば、年収が見込み額で130万円になるケースというのは、130万円を12カ月で割った月給10万8380.333円になります。年収130万円が判断基準になっている場合、この金額を超えなければ、扶養には入れるというわけです。国民年金、健康保険ともに見込み額で計算します。

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個人事業主として扶養に入るためのポイント

個人事業主が扶養に入るためには、所得や収入を扶養の範囲内におさめることが必要です。ここでは、個人事業主が扶養に入るためのポイントを紹介します。

必要経費を上手く活用する

税金面では、年間収入から経費と青色申告控除分を差し引いた年間所得の金額が判断条件になります。そのため、経費をしっかりと把握し、活用することが大切です。経費というと、接待で使う飲食代を思い浮かべるかもしれませんが、実際には、事業にかかわるものであれば細かいものでも経費として計上することが可能です。

たとえば、事業に必要なパソコンや文房具、通信費や光熱費、交通費も経費になります。領収書やレシートをとっておくことはもちろん、レシートが出ない自動販売機で購入した飲み物などについては、いつ何のためにいくらで購入したかを明確に記録しておきましょう。領収書がなくても経費として計上できます。

青色申告をする

青色申告特別控除を活用すれば、10万円か65万円のいずれかの控除を受けることができます。しかし「開業して収入が増えそうだから青色申告をしよう」と思っても、すぐに申告ができるわけではありません。青色申告をするためには、事前に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

開業した年から青色申告での申請をしたいなら、開業してから2カ月以内に青色申告承認申請書を提出しましょう。この期日を過ぎてしまっている場合は、青色申告を行ないたい年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出していることが条件になります。

個人事業主が税金・社会保険において扶養に入るときの注意点

扶養者の会社の親族の範囲や収入基準をよく確認する

一般的に扶養に入れるのは子や妻と考えがちですが、父母や祖母、兄弟姉妹も扶養に入ることは可能です。退職後に夫婦で開業を考えている人や、個人事業主として働こうとしている未婚の人は、家族や親族の扶養に入ることを検討してみるとよいでしょう。

扶養に入れる親族の範囲は、配偶者側の親族が3親等内などと定められていますが、細かい条件は確認が必要です。また、税金面の扶養では、戸籍上の配偶者か事実婚の配偶者かによって、配偶者特別控除の対象となる収入基準が異なります。

開業届を提出した時点で扶養に入れないケースもある

健康保険における扶養の範囲は、それぞれの健康保険によって異なります。なかには、開業届を提出し、個人事業主となった時点で扶養に入れない場合もあるので、開業届を提出する前に確認するようにしましょう。

法人化する際に社会保険は扶養対象外になる

小規模の事業を行う予定で個人事業主として開業したのち、会社を設立して法人化しようと考えている人も多いでしょう。法人化すると、たとえ社員が社長1人の会社だったとしても社会保険に加入する義務が発生します

法人化すると扶養の対象外になるため、得られるメリットと失うデメリットをよく考えてから法人化の手続きを踏むようにしましょう。

家族手当・配偶者控除も把握しておく必要がある

扶養される人の収入や所得の金額によって、扶養する人の税金や家族手当も変動します。所得金額を意識しながら働く癖をつけておくと、手続きが必要になっても慌てずに済むでしょう。

個人事業主すべてに適用される基本控除は38万円です。扶養される人の所得が年間38万円以下であれば、基礎控除38万円が適用され、所得は0円と計算されます。家族手当の支給対象も、年間所得が38万円以下を対象にしていることが多いです。

収入の見込みを把握しておく

社会保険においては、扶養に入れるかどうかの年収を1年間の通算ではなく見込み額で判断します。年収をどれぐらいの金額で納めたいかを考え、そこから1カ月あたりの見込み額を計算して働くようにしましょう。

社会保険では年収130万円が判断基準になることが多いですが、所得税の場合は基礎控除38万円、青色申告控除65万円を受けたとすると、年収103万円が判断基準になります。税金面では1年間の所得が判断の目安なので、経費に使ったお金は領収書をもらうなどして把握しておくようにしましょう。

個人事業主として扶養から外れるにはどうすればいい?

個人事業主としての収入・所得が大幅に伸び、扶養の範囲内で働くことが難しくなったのであれば、扶養を外れ、収入を増やしたほうがよいでしょう

健康保険の場合は会社に保険証を返却し、扶養から外れる旨を伝えます。資格喪失証明書を受け取り、14日以内に市役所で手続きを行いましょう。国民年金は第3号被保険者から第1号被保険者に変わるため、国民年金被保険者関係届を提出して切り替えを行います。

個人事業主として扶養に入るための条件を確認しておこう

開業届を提出し、個人事業主として働く際には、扶養に入れるかどうかを家族と話し合っておきましょう。まずは小規模個人事業主として事業をスタートさせる場合、年収や所得など、さまざまな条件で扶養に入れるかどうかが決まります。

扶養する人がどのような健康組合に入っており、どのような扶養条件があるのかを知り、事業にとって、よりメリットがある働き方を選ぶことが、その後の事業の成功にもつながってきます。

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